Club Interview vol.019 硬式庭球部 中西 一仁(なかにし かずひと)さん 経済学部経済学科

1958(昭和33)年、創部。東海地区予選東海大学対抗テニスリーグ戦で、男子18回、女子21回の優勝を誇る。部員は全国から集った選ばれし精鋭たち。歴代の先輩が築いた伝統に支えられながら、今日も、コート上で腕を磨き合う。 コートに集う高い意識を、伝統が支えている。

01 団体1部リーグ連覇。個人戦でも多数がインカレ出場。

第75回東海学生テニストーナメントでの優勝、おめでとうございます。

ありがとうございます。おかげさまで、男子シングルスでは森下大斗が優勝し、男子ダブルスでは森下大斗と私のペアが優勝を飾ることができました。11月29日(日)から12月3日(木)にかけて行われる全日本学生室内テニス選手権大会に出場します。上位を目指して頑張ります。

では、硬式庭球部について教えてください。

1958(昭和33)年に創部した、半世紀以上の歴史を持つ伝統のクラブです。1週間のうち、月曜日以外は練習日です。火・水・木曜日は朝8時から10時半、金曜日は17時から20時、土・日曜は9時から16時まで、第一オムニコート(砂入りの人工芝コート)で練習しています。今まで、東海地区予選東海大学対抗テニスリーグ戦で男子は18回、女子は21回優勝した実績があります。現在、男子は同リーグ戦で1部リーグを連覇し、2年連続で全日本大学対抗テニス王座決定試合に出場。個人戦においても多くの選手がインカレ(全国大会)に出場しています。

素晴らしい実績ですね。大会は数多くあるようですが、年間のスケジュールを教えてください。

年間通して8つの大会があります。まず、5月中旬に東海学生春季テニストーナメント大会があります。7月中旬には東海学生夏季テニストーナメント大会、8月にはインカレ、9月上旬には東海地区予選東海大学対抗テニスリーグ戦(団体戦)があり、この大会の各リーグ1部1位が、10月の全日本大学対抗テニス王座決定試合に出場できます。9月には他に、東海学生チャレンジテニストーナメントがあります。これは、春季・夏季・新進の本戦に出場できない選手による大会です。11月には、東海学生新進テニス手権大会があり、東海地区内の個人ランキングで16位以下の選手が出場します。11?12月には全日本学生室内テニス選手権大会が行われます。

日頃の練習内容を教えてください。

男女は別々のコートで練習します。まず、準備体操をしてから、15分間のウォーミングアップを行います。最初の5分はベースラインから打ち合うラリー、次の5分間は片方が前に出てボレーし、もう片方はストローク。交代して、もう5分間。その後、試合形式でダブルスを行います。講義などで抜けて人数が少なくなってくるとシングルスの練習に切り替えます。練習時間以外のフリーの時間も、希望者は練習しています。試合が近いとほぼ皆が練習しに来ていますね。雨天時は、AGUスポーツセンターで筋力トレーニングやランニングを行っています。

02 OBに見守られながら、自らを磨く。

愛知学院大学硬式庭球部が強い理由はどこにあると思いますか?

まず、全国から自然と強い選手が集まってくることです。例えば私の学年で、愛知県出身は私ひとりです。全体でも、愛知県出身は半数ほどです。また、それぞれが「東海地区で連覇する」という強い意識を持って、普段の練習に取り組んでいることが強さにつながっていると思います。

部員同士でアドバイスをし合ったりするのでしょうか?

もちろん本人から相談を持ちかけてくる場合には応えますが、周囲から進んでアドバイスすることはあまりないかもしれません。東海地区予選東海大学対抗テニスリーグ戦のような団体戦を除いて、基本は個人の戦いです。全国から強い選手が集まっているため、大会の本戦で部員同士が対戦することは頻繁にあります。つまり、部員は仲間でありライバルでもあるのです。生じた課題は、それぞれが自らを見つめて改善していきます。また、周りから直されるよりも、自ら気付いて修正できた方がより的確に反映できます。

監督やコーチにアドバイスをもらったりはしないのでしょうか。

毎週土・日曜に来るので、その際に気になることがあったら部員が自らアドバイスをもらいにいきます。部員同士の関係と同様に「口を酸っぱくして指導する」ことは少なく、求めれば応えてくれる関係です。ただ、常にシビアに見てくれているので、助言を求められた場合には、それぞれの部員の考えや行動を尊重しながらも細部まで捉えた厳しい助言をしてくれます。

監督やコーチはどんな方でしょうか。

硬式庭球部には、ゼネラルマネージャー、監督、コーチがいて、OBや強豪大学の卒業生が担当しています。ゼネラルマネージャーは全体の統括や監督の選出を行い、監督は現場での指導に加え、OBや地元の人脈など保持するネットワークを生かしながら練習試合の相手の手配なども行っています。練習試合は月に1、2回ほど県内の他大学、高校、実業団などと実施しています。

なるほど。大会以外でも、試合の経験を積む機会があるのですね。

はい。もちろん練習試合は実際の大会とは異なりますが、普段の練習ではなかなか得られない緊張感を体験することができます。テニスはメンタル面の強さも求められるスポーツなので、場慣れしているかどうかは非常に重要です。私は、高校時代に初めて団体戦に出場した際、緊張で身体が固まってしまい、全く思うように動けませんでした。でも、大学に入ってからは緊張で身体が固まることはありません。練習試合や多くの大会、そして、強豪だからこそ当然のように得られる経験が、緊張から身体を解き放ってくれています。

03 この部が、もっと強くなるために。

中西さんが愛知学院大学の硬式庭球部を選んだ理由を教えてください。

私が高校3年の時に、愛知学院大学硬式庭球部が東海地区予選東海大学対抗テニスリーグ戦で優勝したのです。愛知県内で、できるだけ強い部のある大学に入って活躍したかったので選びました。

入部してみてどうでしたか?

規律の厳しさを感じました。例えば1年次は練習開始の1時間前には集合し、ボール出しやコートの整備など準備をします。その他、練習を終えてコート外に出るときは、年次は関係なく全員が大きな声で挨拶をします。大学のクラブ活動と言うと自由な雰囲気を想像しがちですが、私としては高校時代よりも厳しい印象がありました。

1年次は、部の規律や役割について、いつ教わるのですか?

入部する直前の3月に、岐阜メモリアルセンターで合宿があります。そこで、新入部員それぞれの持つ技術力が確認されるとともに、コートの準備といった1年次の役割や、部員としての心構えを教わります。この心構えこそが、伝統校として強豪であり続けられる理由なのだと思います。基本的にテニスは個人の戦いなので、個人の自主性が重要です。それを支える精神力や地力が、この部ではしっかりと養われます。

今後の目標を教えてください。

この部がさらなる飛躍をするために、絶対的なエースになりたいです。現在、それぞれがある程度の結果を残せていると思いますが、それぞれが自分のことばかり考えているだけでは、部全体が今後さらにレベルアップすることは難しいと思うのです。部全体がより強くなるために、飛び抜けて強い部員の必要性を、私は感じています。以前、絶対的なエースと呼べる先輩がいました。その先輩がそこにいるだけで、部の雰囲気や印象、真剣味が増していました。言葉で何かを語らなくても、目指すべき象徴として、部の強さを引き上げていました。だから、確かな結果を残し、チームを引っ張っていける存在になれるよう、今以上に頑張っていきます。

高校生にメッセージをください。

今の段階でテニスの技術が抜群に優れている人よりも、「負けたくない」とか「絶対にうまくなりたい」といった強い向上心を持った人に入ってきてほしいです。他のスポーツも同様かもしれませんが、テニスは特に気持ち次第で成長の仕方が変わると私は思っています。一緒に上を目指してくれる人を待っています!

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取材を終えて

「自分のことばかり考えていると、勝てない」。中西さんのコメントで非常に記憶に残っている言葉です。そこには、二つの意味が込められているのだと思いました。ひとつは、一人が強くなるためには、部全体が強くならなければいけないということ。もう一つは、部全体が強くなるためには一人が強くならなければいけないということ。この二つがあって、初めてさらなる高みを目指せる。中西さんは「今やっと気付きました」と苦笑いをしながら話していましたが、この真理に気付ける人は、そうそういないと思います。愛知学院大学硬式庭球部という場所で、仲間とひたすら努力してきた中西さんだからこそたどり着けた境地なのではないでしょうか。素晴らしい話をありがとうございました。これからも頑張ってください!