リサーチプロジェクトを学びたい!

嶋田 健人(しまだ たけと)さん 総合政策学部 総合政策学科 3年

愛知学院大学の総合政策学部を選んだ理由は何ですか。

高校時代、進路選択に迷っていた時のことです。僕は三重県出身なのですが、友人から「愛知県に大きな大学があるから一緒に行かないか」と言われたのがそもそものきっかけでした。友人と共にオープンキャンパスへ足を運び、そこで手にしたパンフレットに書いてあった「リサーチプロジェクト」という講義に興味を持ちました。実際に現場へ足を運び、問題の発見・解決の実践を行うという内容に、思わず胸が高鳴ったのを覚えています。早速、学内にいた在学生や先生にその内容を詳しく聞き、ぜひやりたい!と入学を志しました。

「リサーチプロジェクト」のどの部分に、特に興味を抱きましたか?

机上で学ぶだけではなく、実際に、現場に足を運んで、情報を収集したり仮説を立てたりしながら、問題発見・解決を進行していく点に大きな関心を持ちました。体験を通して、貴重な学びを得られるような気がしたのです。

「リサーチプロジェクト」について具体的な内容を教えてください。

1年次の「リサーチプロジェクトⅠ」は、入門編に位置します。学びに対する主体的な姿勢を重視しながら、講義の聴き方や、ノートの取り方、文献・資料の調べ方、レポートの書き方など基礎技術・考え方を学んでいきます。

2年次以降の学びはどのようになっていくのでしょうか?

体系的な学びを通じて問題発見・問題解決能力を養っていきます。2年次に学ぶ「リサーチプロジェクトⅡ」では、問題の発見について習得します。資料や情報を読み解いて理解し、自らの考えとして落とし込んで発表する能力を身に付けます。3・4年次の「リサーチプロジェクトⅢ・Ⅳ」では、問題の分析と解決にアプローチ。1・2年次の学びの成果をさらに深め、問題解決に適したゼミを選び、発見した問題の分析・解決に取り組みます。


実際に取材してみなければわからないこと。

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入学のきっかけとなった「リサーチプロジェクト」。実際に取り組んでみていかがでしたか。

まず1年次は、「農業問題」という大きなテーマの下で、いくつかのグループに分かれて、テーマを立てました。僕たちが選択したテーマは「農業人口」です。農業に携わる人口が減少しているのではないかと考え、問題の発見・解決を試みました。

日本全体に関係する大きなテーマですね。

実際に起きている問題として、様々な現状が見えてくるだろうと思い、設定しました。1年次のリサーチプロジェクトは入門編なのですが、しっかり取り組んだ記憶があります。行動の内容としては、愛知県岡崎市の農業大学校へ、取材に行きました。

本格的ですね。収穫はありましたか。

いろんな意味で大収穫でした。なんと、大前提が間違っていたのです。農業に携わる人は減少し続けていると思っていたのですが、近年、農業の仕事に就く人は増加していたのです。2011年に起きた東日本大震災後、農業への関心が高まってきているとのことでした。また、リーマンショック後の影響をいまだに引きずっていて、仕事を失った人たちが自らの手に職をつけようとしている背景があるそうです。

そうなんですね。実際に聞いてみないとわからないものです……。

取材に対応してくださった農業大学校の先生の話を聞いて、驚きました。やはり、実際に取材してみないとわからないことが多いです。ただ、一方でここ数年、増加しているだけで長いスパンで考えれば確かに農業に携わる人の数は減少しています。取材の後、インターネットや文献からいろんな情報を集めて、あらためて、解決法を探っていきました。

どういう解決法を導きだしたのでしょうか。

簡単に言えば、地産地消です。要は、農業による収益の向上が解決につながるポイントだと捉え、道の駅をはじめとした農産物を販売する場所の拡大ができないかと考えました。他には、地元と一体になって進める案として、小学校を始めとした教育施設で地元の農産物を使用する提案をしました。ただ使うだけでなく、「今日の料理に使われている素材は、○○市の農家の方が作ったものです」と、発表することが大事です。

その内容は、最終的にレポートなどにまとめたのですか。

リサーチプロジェクトで取り組んだ内容は、コンテストで発表します。予選は、ゼミ内で各グループが発表し、そこでそれぞれ1チームが選抜され、本戦に進みます。僕たちのグループは、予選と本戦で発表の手法を変えて挑みました。予選は、学生が審査員となって評価するので、パワーポイントのソフトを使って、動きを用いたプレゼンテーションを行いました。一方、本戦では、先生が審査員となるので余計な要素を省いて、本質だけをわかりやすく伝えたのです。

とても戦略的ですね。

発表するからにはインパクトを残したいと思いました。その上で、どうすれば印象的になるかと、僕たちのプレゼンテーションを見る側の視点に立って考えました。相手に合せてプレゼンテーションを変えることで印象づけることができたと思います。


様々な視点に立てば見えてくる、問題解決の糸口。

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2年次からは、さらに実践的になっていったのでしょうか。

長年「まちづくり」をテーマに活動を行っている村田先生のもとで、いろんな体験をさせてもらいました。20人が、4チームに分かれてそれぞれ異なる活動を実施しました。僕たちが取り組んだのは、村田先生のネットワークで紹介を受けた東郷町御岳地区における、まちづくりです。全国的に家族間の交流がなくなってきている昨今の状態と併せて、人と人のつながりが希薄になってきていると思います。それを僕たちの力で完全に解決することはもちろん無理ですが、何か役に立てないかと思いました。

具体的にはどんなことをしたのですか。

まず、大人の交流を育むために何をするべきかと考えました。でも大人同士って、なかなか交流できないんですよね。そこで僕たちは、「大人の視点」を「親の視点」に切り換えて考えてみたんです。大人同士は交流しにくくても、親同士は交流しやすいのではないか、と。そこで出たアイデアが、焼き芋大会でした。早速、地区で子供会を運営している方々に協力をお願いしました。公民館とそこにある広場を借りて、イベントの実施を進行させていったのです。

なるほど。わかりやすいですね。どんなふうに準備を進めたのですか。

準備は2ヶ月前くらいからスタートしました。開催日の調整に始まり、市役所への公民館の使用許可申請、予算の想定、来場者の予測など、当日の状況を想定すればするほどやるべきことが出てきましたね。もちろん参加募集のための活動も実施。該当地域の方々に内容をしっかり伝えたかったので、地域の回覧板にチラシを挟んでもらって周知しました。準備には、授業以外の時間帯も使いました。むしろ、そちらのほうが長かったです(笑)。


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当日、嶋田さんは主にどんな役割を担当していたのですか。

焼き芋を焼いている間は空き時間ができるので、公民館の屋内を借りてミニゲームをいくつか行い、その司会進行を僕が担当しました。ゲームのポイントは、小さい子どもが大人と一緒に参加できること。グループ対抗のクイズなどを行い、得点制として、勝利したグループはポイントが獲得できるようにしました。最終的に、獲得ポイントの高いグループから焼き芋を選べるようにしたのです。結果、皆さんに楽しんでもらえたように思います。参加者以上に僕が楽しんでいた感覚もありましたが(笑)。ミニゲームだけじゃなく、いろんな企画をする時間も合わせて、誰かの視点に立って考えることは本当に面白いです。

目的の「地域の中での交流」は生まれましたか?

はい。生まれていたように思います。時々、イベント中の様々な風景を写真に収めながら、状況を確認していたのですが、子どもたちが焼き芋をつついている姿を見守りながら親同士で談笑する大人の様子がたくさん見受けられました。結論として、交流する機会さえあればつながりを育むことはできるんじゃないか、という考えに至りました。つまり、参加しやすい内容やタイミングをどう創出するかが大切だということです。ただ、成果が出たと同時に、課題も見えてきました。

課題とは何でしょうか?

「今回のような交流を、どうやって次につなげていくか?」です。いくら交流の機会が持てたとしても、一回で終わってしまっては意味がありません。できれば、引き続き後輩のみなさんが御岳地区で活動を行ってくれることを少し希望しています。僕としては、今回の活動を前例として紹介やアドバイスを行うなど、可能なことをさせてもらいたいと考えています。

後輩へのアドバイスといえば、嶋田さんは、今、リサーチプロジェクトのLAを行っているそうですね。

LA、いわゆる「ラーニング・アシスタント」は、先生と学生の間に先輩学生が入ってアドバイスする講義の仕組みを指します。この秋からスタートした制度です。僕は今、1年生のリサーチプロジェクトでLAをさせてもらっています。自らが体験した講義とは異なった視点で学べるので、こちらも学びが多いです。


新入生歓迎会とオープンキャンパスのスタッフに。

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嶋田さんは、新入生歓迎会のスタッフとしても参加していたと聞いています。

新入生歓迎会は毎年行われているのですが、中でも特に総合政策学部は大きな規模で実施しています。1年次に参加した際は、とても驚きました。今回は先輩から誘ってもらったので、ぜひやらせてください!と返事をしました。

新入生歓迎会ではどんなことを行うのですか?また、嶋田さんが担当した役割を教えてください。

基本的には、文字通り、新入生の歓迎イベントです。主に大学について、施設や利用の仕方、総合政策学部の紹介をします。僕は、御岳地区のイベントでのミニゲーム同様、司会進行を担当しました。

司会進行としてあちこちで大活躍ですね。新入生歓迎会ではどんなことに配慮しましたか?

実は、僕が新入生として新入生歓迎会に参加した際、先輩たちが行ったイベントには感動したのですが、先輩たちの凄さだけが印象として残り、逆に近寄りがたい存在として映ってしまっていました。新入生は、初めて会った同級生や先輩に対してどう振る舞っていいかわからず、硬くなっているのが実際の姿だと思うのです。今回はできるだけフレンドリーに接することで、その硬さを解消し、いつでも声をかけられるような身近な先輩になれることを目指しました。僕は三重県の出身なので、三重弁をフルに使って親しみやすさを作りだしてみました。

新入生の反応はどうでしたか?

良かったですね。盛り上がっていたように思います。それに加えて、後日、前述したLAを行っている際に、1年生の学生から「新入生歓迎会で司会していた先輩ですよね!」と声をかけられました。この時、成功だったと実感しました。本音を言うと、実は司会をしていた時はタレントを模したメイクをしていたので、誰かわからなかったのではと感じていました。でも、それでも覚えてくれていたのですから、嬉しかったです。

嶋田さんのお話を聞いていると、新入生歓迎会のイベントですら、「問題の発見と解決」という総合政策学部の学びに聞こえます。

確かにそうかもしれませんね。対象となる新入生の視点に立ちながら、いろんなことを想定してイベントを作り上げていきました。春休みに入った頃から準備を始め、週に3回くらい会議を行いました。大学ならではの完成度を出したくて、スクリーンのビジュアル表現をパソコンで仕上げました。期待度を上げるためにカウントダウンの企画を採用したり、開始までは手持ちぶさたな時間が生まれることを考え、その時間に放映するための映像を学内の各施設前で撮影したりしました。

夏のオープンキャンパスにもスタッフとして参加したそうですね。

学部紹介と大学生活の体験談スピーチをさせてもらいました。学部紹介については、わかりやすくポイントを決めて伝え、体験談スピーチでは、講義やキャンパスライフを通して感じた個人的な想いを語りました。あまり意識はしていませんでしたが、「入学して得たもの」に重点を置いて話をしたように思います。


生まれ育った環境と、イベント業界で働く夢。

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嶋田さんは緊張知らずの性格ですよね。幼い頃から人前で話す機会が多かったのでしょうか。

いつもイベント直前にはとても緊張しているんですよ(笑)。リハーサルではミスだらけです。でも、不思議なことに一旦、始まると緊張はどこかに消えてしまうんです。振り返ってみれば、人前で話す機会については、確かに少なからずあったかもしれません。中学校では生徒会の副会長を、小学校では児童会長をしていました。三人兄弟の長男なので、多少、積極的に前に出る性格があり、それも今の行動に影響しているかもしれません。

生まれ育った環境の影響は大きいですからね。

実家が自営業を営んでいたので、父に連れられて、市の商工会の集まりによく参加していました。その時に、市内にある会社の代表の方たちといろんな話をしました。子どもながらに、どう接したらいいか必死に考えていたのを覚えています。大したことではないかもしれませんが、ああいった経験が、多少なりとも社交性を磨く機会になったのではないでしょうか。僕は将来、イベント業界に就職したいのですが、その夢を抱くきっかけの根っこは、意外にそこにあるのかもしれません。

イベント業界に入るのが夢なのですね。

はい。この大学に入っていろんな経験をさせてもらって、はっきりと自覚するようになりました。なんと言っても、イベントは、終えた後の達成感がとても大きいです。リサーチプロジェクトの焼き芋大会や新入生歓迎会、オープンキャンパスなどを通して何度も体感しました。入学した頃は、将来の夢は何も持っていなくて、単に「クルマが好き」という趣味があるくらいでした。

イベントの会社では、やはり司会進行といった仕事がしたいのでしょうか。

いいえ、違います。話をする仕事は、もちろんやりがいも達成感もあると思います。でも僕が社会に出てやりたいイベントの仕事は、企画や制作です。イベント現場での実施・運営ではなく、情報を届ける対象に合わせて面白い企画のアイデアをひねり出していく人間になりたいのです。最近、その思いをアルバイト先の会社の方に話したところ、社内で管理系の仕事をさせてもらえるようになりました。

総合政策学部での学びはイベントの企画や制作にも活かせそうですね。

はい。総合政策学部での体験は、突発的に何か問題が生じた際にも、役立つと感じています。イベントはお客さんを巻き込んで一緒に作り上げるものですから、すべてが想定通りにはいきません。だから大事なのは、その時の気転や洞察力だと思います。自ら、問題を発見し、解決していくプロセスの繰り返しは、様々な状況への対応力を養ってくれると感じます。

最後に、高校生に向けたメッセージをお願いします。

確かな夢を持って大学に入学する人って、意外に少ないのではないでしょうか。そういう人には、ぜひ、小さなことでもいいので「目標」を持ってもらいたいです。僕みたいに、「リサーチプロジェクトを頑張る!」とか、「この講義だけは誰にも負けない」「外国人の先生と積極的に話しをする」など、ほんの小さな想いでもいいのでやりたいことを明確にして入学すると、大学生活が充実するはずです。ただ、その際に、忘れてはいけないのは「全力で取り組むこと」。がむしゃらに取り組んでいくことで、思ってもみなかった道やチャンスが見えてきます。そして、ふと気付いたら目の前に夢がある。その活路がここ愛知学院大学にあると思います。


取材を終えて

本文には書きませんでしたが、嶋田さんはとても旅行好きとのことでした。ひとりでいろんな場所に行き、初めて訪れた地で、初めて顔を合わせる人たちと話をするのが楽しくてしょうがないそうです。実家の三重から富山までバイクで行ったり、高校時代には北海道へ寝台列車の旅をしたり。今回、状況に合わせていろんな視点を持って取り組む楽しさを語ってくれましたが、その想像力は、ひょっとしたら嶋田さんの強い好奇心が生み出しているのではないかと思いました。「どうなるんだろう」という思いを抱いて、実際に旅に出るか、頭の中で誰かに成り代わるか、嶋田さんにとっては、ひょっとしたら同じようなことかのかもしれません。すべては好奇心が導く、想像力の冒険。就職後は、総合政策学部での学びを活かして、ぜひ、社会で大きくはばたいていただきたいです。今回は、貴重なお話を本当にありがとうございました。

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