歯学部附属病院の存在が、決め手になった。

田頭果枝(たがしらかえ)さん 短期大学部 歯科衛生学科3年

歯科衛生士になりたいと思ったきっかけを教えてください。

高校時代、ある雑誌で、歯科衛生士の業務内容について書かれた記事を読み、「これだ!」と思いました。私は小学1年生の頃からずっとバレエを習い続けてきたせいか、身体づくりに対して強い関心がありました。また同時に、将来は人の役に立つ職業に就きたいという想いを持っていました。雑誌の記事で、歯と健康の密接な関係を知った時から、もう他の職業は目に入らなくなったのです。

愛知学院大学短期大学部を選んだ理由を教えてください。

歯学部附属病院があるからです。大学病院における臨床実習は、地域の歯科医院に比べて多様な診療科での経験を積むことができ、特殊な事例にも立ち会うチャンスがあると思いました。さらに、その経験は今後の自分にとって大きなメリットになるとも考えました。また、姉の友人の一人に愛知学院大学短期大学部歯科衛生学科の卒業生がいたので、短期大学部での充実した学びについて教えてもらえたことも選択の理由となりました。「実習を含め、勉強は本当に大変。でも、入学してよかった」と彼女に言われ、私は「しっかり学ぶことができる」と実感し、志望することを決めたのです。

入学してみて、どうでしたか?

姉の友人が言っていた「大変」という言葉の意味がわかりました。大変なのは、講義の専門性でした。入学直後は、講義で用いるほとんどの専門用語の意味がわからず、先生の話にもついていけず、非常に苦労したのを覚えています。でも、そんな専門的な講義も、いつしか手応えのある講義へと変化していったのです。

それは、頑張って勉強したからでしょうか。

もちろんそれもあると思っています。「ついていけるかな?」と思ったので、当時は本当にがむしゃらに勉強しました。予習・復習はもちろん、先輩に相談にも行きました。ただ、そういった努力が成果に結びつきやすい仕組みが、愛知学院大学短期大学部歯科衛生学科にはあるのです。各年次のカリキュラムは、人体や歯の構造や機能を理解する「基礎」と、歯科衛生士に必要な対応や知識を身につける「応用」、歯科衛生士に必要な技能・態度を修得する「実習」が体系的に構成され、一つの学びが、次の学びに活きてきます。だから新しい知識が出てきても「あ、あのことか」と納得しながら学んでいけるのです。


学びを面白くしたのは、歯科材料に見つけた「つながり」。

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1年次の学びについて教えてください。

1年次は、楠元キャンパスで、人体・歯・口腔の構造や機能、自然科学、社会科学などを学び、健やかな歯や口腔を守るための基礎知識・技術を身につけました。1年次の講義内容には、多少、理解するのに苦労を強いられましたが、ここで頑張って勉強したことで、さらに複雑・多様化していく2~3年次の学びをスムーズに学修できたと思っています。

特に印象に残っている講義は何ですか?

私は特に以下の二つをあげたいです。まず「人体の構造」。これは、医学や歯科医学の基礎となる知識です。人体の様々な器管について、形態や構造、器管同士の位置関係などを学修します。口腔を構成する骨や下顎骨(かがくこつ)に付着する筋肉、唾液腺、舌に加え、口腔にある動・静脈、神経について深い理解を得ます。そして、「細胞の構造や働き」。ミクロン単位の細胞について、顕微鏡で確認できる結果によって細胞・組織の形態や構造を学びます。歯の組織や歯周組織は、歯科衛生士の日常業務である歯科予防措置や歯科保健指導に直結してくる内容です。どちらの講義も、歯と身体の密接な関係性についてのカリキュラムといえます。私はこの二つの講義が特に印象に残っています。まさに、歯科衛生士の基礎を身につけるための基盤となるのではないでしょうか。

面白くてのめり込んだ講義はありますか?

「歯科と材料」です。将来この分野の研究をしたいと感じるほど大好きになりました。世の中には、有機材料・無機材料・金属材料・複合材料があり、目的に合わせて加工します。目的に合わせて、練ったり、光を当てたりすることによって歯科の医療用材料に生まれ変わるのです。面白かったのは、材料の特性を理解していれば、ちがう目的を持って生まれた医療用材料同士の〝つながり〟に気付けたことです。この講義を学んでからは、世の中で販売されている商品の成分表示を見るのが楽しくなりました。実はこの〝つながり〟を、バレエでも感じることがあります。例えば、腕を上げていなければできない足運びなど、一見関係なさそうなのに確かに存在する関連性に気付くと、胸が高鳴ります。

1年次にも実習を行うと聞きました。

はい。ただ1年次に行う実習は、臨床・臨地実習の準備段階にあたる内容です。マネキンを使用して技術を学んだり、クラスメイトと歯石の除去をしあったりします。歯科衛生士、アシスタント、患者さんの3名の役割のローテーションを組み、実際の治療のシチュエーションを作り上げて作業をすることもあります。


基礎の力が、歯科と社会をスムーズに結んでくれた。

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2年次の学びについて教えてください。

より専門的な歯科医療の知識や歯科予防処置・歯科保健指導・歯科診療補助の技術を身に付けます。そして、秋学期からはいよいよ歯学部附属病院において臨床実習がスタートし、各診療科で先生に付いて歯科衛生士に必要な知識と経験を育みます。

2年次で、特に印象深い講義は何ですか?

「社会制度と歯科・歯科の歴史」です。例えば、「8020運動」をご存じでしょうか。これは、厚生労働省と日本歯科医師会が平成元年にスタートさせた、〝80歳になっても自分の歯を20本以上維持しよう〟という運動です。自分の歯が残っていれば、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間(健康寿命)がのびると言われます。また、平成14年に、国民の健康づくり環境整備のために施行された「健康増進法」には、歯の健康保持のための方策が記されています。このように、歯科を取り巻く社会の仕組みについて、制度法律や医療経済、社会保障制度の側面から学び、さらに歯科の歴史を学修しました。最初は、「歯科」と「法律」という全く領域の異なるキーワードが一緒に並んでいるだけで戸惑いました。でも1年次に身につけた基礎が、歯と健康から社会を結び付ける〝つながり〟となり、理解を助けてくれました。

他に、強く記憶に残っている講義はありますか?

「歯列の不正と対応」があげられます。いわゆる矯正のことです。歯並びや噛み合わせの良くない場合に生まれる様々な悪影響を理解し、治療の必要性とその意義や特性を学修します。また、臨床での診療補助や歯科予防措置および指導の技能を身につけます。矯正に使用する数多くの器具のことや、歯の動き方に関する知識など、覚える内容が膨大にあり記憶するのが大変でした。器具の写真を撮影してメモを書き込むなど自分なりに工夫して学びました。

1・2年次に履修する英語のカリキュラムについても教えてください。

グローバル化を意識して、外国人の患者さんへの対応もスムーズにできるように学修します。1年次は日常英会話を、2年次では歯科の診療に関する専門用語や診療英会話を学びました。新しい単語との出会いが多く、新鮮な気持ちで英語を学ぶことができて楽しかったです。


実習とは、経験しながら考え、身に付けていく時間。

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臨床実習の前に、臨床予備実習というカリキュラムがあると聞きました。

臨床実習に入る前に、まず、「臨床予備実習」のカリキュラムを受けます。これは、短期大学部内において受講するもので、臨床実習とその後に地域の歯科医院2か所で経験する臨地実習を円滑に進めるために行います。基本的な技術や器具の使い方、患者さんの対応など、臨床実習時には絶対に理解していなければいけないことを、あらかじめ学修し、テストでチェックします。

知っていなければ実習では何もできないということですね。

はい。自分のレベル確認のためのテストではないのです。できないと実習に出る意味がありません。実際の患者さんに触れ、対応していくために欠かせない知識と技術を持ち合わせているかどうかをチェックし、不足していれば、十分に準備するカリキュラムです。このカリキュラムを経て、初めて臨床実習に足を踏み入れます。

そして、臨床実習に入るわけですね。

はい。11月から約1年をかけて歯学部附属病院9診療科(口腔衛生科、口腔外科、矯正歯科、歯周病科、小児歯科、総合初診科、放射線科、保存科、補綴科)をまわって経験を積みます。全ての診療科でバランス良く学べるのは、大学の歯学部附属病院が備える大きなメリットではないでしょうか。それぞれの診療科で、約2~3週間、実際の患者さんに向き合いながら、治療の流れや、各タイミングでの対応などを完全に習得していきました。

一つの診療科で2~3週間とは長くはないのでしょうか。

私は、ちょうど良い長さだと思いました。治療の流れが毎回大きく変わるわけではありませんが、患者さん毎にいつも何かしら新しい疑問点が生まれていました。先生と患者さんが話している内容をじっくり聞き、会話の中に疑問を解消するヒントとなるような情報を見つけ出そうと努めていました。また、先生の患者さんへの対応を確認しながら、次に必要となる治療の準備について考え、それがわかれば、必要な器具は何か、いつも頭を巡らしていました。治療の流れや使う器具は先生の特徴が表れる部分でもあるので、それに気付くことも大事だと思っていました。

実習中は、短期大学部へは行かないのでしょうか。

歯学部附属病院での臨床実習中は、毎週水曜日の午後に短期大学部へ足を運んでいました。臨床現場で体験した事例をテーマにクラスメイトとディスカッションして、対策方法の検討や技術力向上のための練習をするのです。それぞれの体験を皆に報告し共有して学び合うことで、実習で得た経験が、少しずつですが着実に身に付いていったように感じましたね。


仮説を立て、アンケートを実施。意外な結果が得られた。

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卒業研究は終わりましたか?

はい。3年次になってすぐに卒業研究についての説明を受けて、大まかなテーマや内容を決めていき、本格的に着手したのは7月頃だったでしょうか。先日、無事にまとめ終わりました。

卒業研究について教えてください。

「口腔の関心度と口腔清掃習慣の関係について」というテーマで研究しました。まず、短期大学部歯科衛生学科の3年103名と他大学の一般学生100名を対象にアンケートを行い、口腔清掃習慣のちがいを調べました。私自身、在学中の3年間で大きく習慣が変わったので、絶対にその部分が反映されてくるという自信がありました。アンケートの主な内容としては「口腔清掃にどれくらいの時間をかけていますか?」「口腔への関心はありますか?」「自分の口腔内で気になるところはありますか?」などです。

アンケートの内容は自分で作成したのですか?

そうです。アンケートを行う前に、何を知りたいのかを強く意識し、誘導的にはならないように注意して作りました。一度自分で作り上げてから先生に手直しをしてもらいました。配布方法としては、短期大学部歯科衛生学科の友人10名と、同じバレエスタジオに通っている友人10名に、それぞれ一人が10名に配布してくれるようお願いしました。データを比較しやすいように対象の性別は女子限定としました。回収の方法は、配布とは逆の流れで行いました。手伝ってくれた20名の友人たちには心から感謝しています。

結果はどうでしたか?

先生に手伝ってもらいながら、分析を行いました。結果については、ある程度、予測通りの結果が出てきました。例えば、口腔清掃にかける時間としては、他大学の一般学生が1~2分なのに比べて、短期大学部歯科衛生学科の学生は15分ほどかけて口腔内の清掃を行っていました。意外だったのは、「口腔への関心はありますか?」と「自分の口腔内で気になるところはありますか?」に対する、他大学の一般学生からの答えです。アンケート実施前は、関心がある人はある程度いたとしても、気になるところがある人は少ないだろうと予想していました。でも、気になるところがあると答えた人は大勢いたのです。他にも興味深い結果がいくつか得られ、非常に有意義な研究となりましたね。


もっと学びたい。だから、口腔保健学の専攻科へ。

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卒業後は、専攻科に進むことをお考えだそうですね。

はい。2009年に認定を受けて設置された「口腔保健学」の専攻科に進みたいと思っています。専攻科を卒業すれば、「学士(口腔保健学)」の学位が取得できるので、歯科衛生士としての学問領域を広げることができます。

もっと学びたいということでしょうか。

その通りです。入学当初は、講義内容が本当に難しくて「ついて行けるだろうか」と悩んだこともあったのですが、しっかり勉強して基礎を作り理解度が上がってからは、学ぶほどにもっと学びたくなりました。学修した知識がまた新しい知識とつながり、さらに知りたいことが生まれ、どんどん世界が広がっていく。どこまでレベルアップできるか自分に挑戦している感覚もあり、それがまた心地よいです。

最後に高校生へメッセージをください。

今は、毎日が楽しいです。講義を受けていて、毎回、新しい発見がある。愛知学院大学短期大学部の体系的なカリキュラムのおかげで、難しいことも少し頑張ればスラスラと頭に入ってくる。さらにその積み重ねが夢につながっていくのですから、最高ですよね。学ぶのが楽しくなる感覚を、ぜひ多くの後輩の皆さんに体験してもらいたいです。


取材を終えて

田頭さんは、週に5日、短期大学部から帰宅してから17時から22時までバレエの練習をしているそうです。普通に大学の講義の予習・復習をするだけでも大変そうなので、本当に驚きました。「疲れて、勉強できなくなってしまわないのですか?」と訊ねると、「それがないと勉強も頑張れないんですよ」と笑顔の返事。バレエの練習と勉強への意欲。彼女が言うとその二つにも〝つながり〟があるように感じさせられます。努力することで〝つながり〟を発見し、楽しくなり、さらに努力する。その思考の動きは、きっとどんな世界へ行っても活きるのではないででしょうか。今回は、本当に良いお話をありがとうございました。今後のさらなるご活躍を期待しています。

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