流通・マーケティングと会計の両方に興味があった。

加藤 達也(かとう たつや)さん 商学部商学科 4年生

商学部を選んだ理由を教えてください。

ヒット番付を知っていますか?ヒット番付とは今年はどんな商品が良く売れたかなど、公表されているものですが、その番付を通じてマーケティングに興味を持ちました。また「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」という身近な疑問から会計学を学ぶ著書とめぐりあって会計学に興味を持ったのがきっかけです。

愛知学院大学を選んだ理由は何でしょうか?

愛知学院大学の商学部(商学科)には、僕が興味をもったマーケティングと会計・金融コースの2つのコースがあり双方とも学ぶことができます。それが選択理由のひとつです。またこの広大なキャンパスに魅力を感じました。キャンパスはただ広いだけでなく春夏秋冬が感じられますし、各施設も充実していて学びの環境が整っています。あとは学生数が多いことです。様々な人が在籍していて、自分とは違った考えを持つ学生と多く触れ合える。元々、人と話をするのが好きなので、まさに最適な大学だと感じました。

実際、大学に入学して感じたことは何でしょうか?

商業科の出身者は基礎とはいえ商学に関して多少なりとも知識があるように思えました。実際、資格を取得している人もいましたし。もちろん商学部と商業科はイコールではなく学ぶ領域も専門性も違うので僕のように普通科出身の学生が大勢いますし、基礎的なカリキュラムも充実しているので安心なのですが、彼らとは差が出ないよう心がけました。

どのようなことを心がけましたか?

まず授業の中で、わからないことがあれば教授に積極的に質問するようにしました。最初はもちろん戸惑いもありました。こんなことを質問して失礼じゃないだろうかと。ただ聞かないと理解が深まらないため疑問に思ったことは全て聞きました。また授業で関心が強まったことは図書館へ行き、参考文献などで調べました。最初はわからないことでも調べていくうちに興味が深まり楽しくなっていきました。

なるほど。そうやって積極的に行動したのですね。

大学の良い所は高校までの授業と違い、決まりきったことをこなすのではなく、自分がわからないこと、興味をもったことを自ら調べたり、学んだりすることです。それも誰から強制されることなく自分の意思で行動できる所です。だから楽しい。わからないことが自分の努力で理解できるようになるわけですから。


人間性と学びの基礎を築いた教養科目。

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1年生ではどんなことを主に学びましたか?

経済、流通・マーケティングの基礎や簿記を学びました。他には心理学や社会学や統計学を選択しました。

商学関係のことだけではなく心理学や社会学と領域は広いですね。

愛知学院大学は全国でも数少ない「教養部」があり、豊かな人間性と幅広い教養の修得を目的とした教養教育に力を注いでいるんです。700科目から選択受講できるんですよ。

それは興味深い話です。

心理学や社会学は一見、マーケティングや会計など商学には関係ないように見えるかもしれません。しかしマーケティングは人と人の関わりの中で行われるもので、そこには心理学や社会学も関わっていると思うのです。実際、教養科目で学んだことは、その後、大いに役立っています。一見、専門外に見えることを学ぶ。そのことが、専門分野を学ぶ上でも大切であることを僕はこの教養科目で実感しました。

なるほど。それは良い学びを得ましたね。

はい。愛知学院大学の商学部は「ビジネスを通して社会に貢献するビジネスパーソンを育成する」ことを掲げています。その意味でもこの教養教育が掲げる豊かな人間性と幅広い教養の修得というのは通じるものがあります。教養教育での学びは人間性を高める点において将来、社会に出ても大切なことだと感じています。


商学科を象徴する2つのコースと仮登録制度

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2年生ではどんなことを学んだのですか?

2年次には主に「会計学」「マーケティング論」など、個別分野の科目を履修し、自分がどの分野を専門的に学んでいくのかを決めます。商学科の2つのコース「流通・マーケティングコース」「会計・金融コース」への仮登録も行いました。

加藤君はどちらのコースを仮登録したのですか?

「会計・金融コース」です。1年生の時に学んだ簿記が楽しくて、財務諸表(※)を理解したいと思い、選択しました。

ではその後のゼミもそのコースを?

いえ、「流通・マーケティングコース」を選択しました。

えっ。それってどういうことですか?

2年次は「会計・金融コース」を仮登録したのですが、流通・マーケティングコースの授業も同時に選択することはできます。僕はマーケティングにも興味があったので、その授業も受けていました。で、受講していくうちにマーケティングの授業が思いのほか楽しく、「ああ、自分がさらに深く学びたいのはマーケティングなんだ」とはっきりわかってきたのです。

なるほど。それはいいですね。

2年次に専門にしたいコースを一端、仮登録するというのはこの学部の良い制度と思います。その上でコースを変更しても良い自由がありますので、僕のように学んでいくうちに興味が変わっても何ら問題がないわけです。

実際、コースを決定しないといけないのはいつですか?

2年次の秋です。僕は小売経営論でお世話になった教授のゼミを選択しました。小売経営論は主に小売の歴史を学んでいく授業で、例えばスーパーマーケットやデパートができた理由や社会的役割、その発展していく過程を学び、さらに具体的な事例も含めて小売ミックス(※)など専門的なことも学んでいきました。

※小売ミックス
百貨店やスーパーマーケット、コンビニエンスストアなど小売業が行う品揃え、立地、店舗環境、プロモーション、サービス、価格など、消費者の獲得において(小売業の競業企業との差別化のために)調整をする諸要素の組み合わせ。

そのゼミでは2年生の秋からはどのような感じで進んでいくのですか?

まずは専門書の読み方、文献解読、調査実習などを行い、3年次に行う名古屋マーケティング・インカレ活動の研究に備えます。


自分を成長させてくれた名古屋マーケティング・インカレ

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名古屋マーケティング・インカレとは何でしょうか?

名古屋近在の大学に所属してマーケティングを専攻している学生によるマーケティングの研究発表会コンテストです。昨年(2009年)は当大学と愛知大学、名城大学、名古屋学院大学の4校から約90名の学生が集まり、熱い闘いを繰り広げました。1チームは3?4名で構成され20数チームで競いあいます。大きなグループが5つあり、そのグループの中で4チームが予選を戦い、そのグループの代表を決め、決勝戦となります。

予選と決勝戦があるのですね。

そうです。予選の前にも中間発表が2回(昨年は6月・10月)開催され本大会(昨年は11月)に備えます。中間発表では研究内容の問題点などを意見し、本大会に向けて改善していきます。

凄い。本格的ですね。

単にぶっつけ本番で発表というわけでなく、様々なプロセスを経験し積み重ねていった研究内容の発表です。2年次から準備し約1年の時間をかけ発表に挑むわけですから、みんな真剣そのものです。

チーム対抗というのも刺激的ですね。

まさに。テーマも1つではなくチームごとに分かれるわけですから、研究内容ひとつをとっても各チームの個性がでます。他チームのテーマを知ったとき「おお、そのテーマで来たか」とその視点の違いにも刺激を受けますね。

プレゼン時間はどれぐらいあるのでしょうか?

1チーム20分です。みんなからの質疑応答でプラス10分です。予選までの間、質疑や評価は他チームの学生です。決勝は企業の方が審査をしてくれます。

どんな質問や意見が飛び交うのでしょうか?

様々な意見が飛び交うのですが、例えば「主張に対して根拠がわかりづらい」「ストーリーに矛盾がある」など発表に対して疑問がある場合に意見を求められます。中間発表ではその質疑に応えながら、その意見を吟味、時には一からストーリーを変更し次の発表までに修正を施すこともあります。

凄い!

主張の明確性、主張に添ったストーリー、その根拠を論理的に組み立てていく。あいまいさを取り除き、一貫した発表にすることが大事です。フィールドワークを取り入れた独自調査などするグループもあって本当に学ぶことが多いです。


僕たちが独自で考えた主張とストーリー

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加藤君のチームの研究内容を教えてください。

とある家庭用ゲーム機器について収益を確保しながらどうやって販売台数を飛躍的に伸ばすのか?というテーマで研究をすすめました。

おもしろいテーマですね。

販売台数を増やすにはゲーム機本体を今より安価にすればいい。そのことは誰もが想定できます。ただ今より価格を下げれば収益が悪くなります。安価にしても収益を確保し販売台数を伸ばす方法を考えました。

その内容を教えてください。

ひと言で表現するなら販売台数が伸びるメリットを活かし、他の収益源をつくるということです。まずシナリオを考えてみました。現在そのゲーム機器の販売台数は約300万台です。これをゲーム機本体の価格を下げることで4倍の1200万台にします。そのために、現在、1台25,000円のゲーム機を9,800円にしようと考えました。ここでいう1200万台というのはゲーム機市場を考慮すれば十分、可能な数字です。

25,000円を9,800円。随分と思い切った戦略ですね。

はい。この価格は今の価格が高いと購入をためらっているユーザーにも購入してもらえる十分なものです。競合のゲーム機本体より圧倒的に安価ですし競争力も増します。いわゆる市場浸透価格戦略(※)で価格を下げることで大きなシェアを先にとってしまおうという考えです。

※市場浸透価格戦略
市場シェアを獲得するために、 低価格設定を施し、 製品を市場内に浸透させる戦略。


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先ほどゲーム機本体以外の収益源という話がありましたが・・

はい。僕たちはゲーム内広告(※)に注目をしました。このゲーム内広告市場は年々のびていて現在で数百億円規模。数年後には世界で1000億円を超える市場になると予測ささています。ゲーム機本体が爆発的に売れることでゲームソフトも付随して売れていきますのでその分、ゲーム内広告の市場は伸びます。僕たちの調査によるとゲーム1本につきのゲーム内広告の収益は800円です。これはソフトが売れた台数分、利益となります。

現在、 1人あたり5本のゲームソフトを持っていると言われています。 ゲーム機本体が1200万台、 売れたならばソフトは6000万本。 つまり、 800円×6000万本=480億円の収益がゲーム内広告で確保できます。 実際はゲームソフト会社とこの収益を分け合うでしょうから、 仮に折半するとして240億円がゲーム機器メーカーの収益です。

※ゲーム内広告
コンピュータゲーム内にて表示される広告。例えばゲーム内の看板や映像にスポンサー企業の広告を入れる、または主人公が飲んでいるドリンクを特定銘柄にすることでゲームをしているプレイヤーに向けた広告となる。

凄い額!

またゲームソフト本体もそれだけ売れるわけなのでそのマージンが15%。現在、ソフトの平均価格が8000円なので。8000円×15%×6000万本。これで720億円。先のゲーム内広告で240億円を合わせると960億円の収益がゲーム機本体の価格を下げ、販売台数を増やすことで確保できると想定できます。

ただゲーム機本体の価格を下げているのでその分は収益が悪化しますよね?

はい。そのとおりです。ただこちらも販売台数が増えるとその分、原材料費など1台生産あたりのコストを下げることができます。これも経験曲線効果(※)を考えたなら数値がでてきます。

※経験曲線効果
累積生産量が増加するたびに、一定の比率で1製品あたりのコストが減少する現象をいう。

大変、興味深い。しっかりとした根拠に基づく主張ですね。

ありがとうございます。それでもその数値の根拠は何なのか?本当にその台数が売れるのか?など真剣な質疑を受けます。様々な理論や根拠を出してもあくまでも仮説でしかありませんので当然のことです。ただそこも自分たちはあらゆることを考えてこの結論に至っているということを説明します。この主張もたどりつくまでに試行錯誤がありましたが、その結論に基づくデータや理論を準備しました。


試行錯誤で生まれた仲間との絆

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どういった試行錯誤があったのでしょうか?

最初は他の案を考えていました。例えば、ゲーム機の機能を削るだけ削り落として原価を下げる方法を考えました。パソコンの世界ではよくあるやり方ですが、BTO(Build To Order)でゲーム機をつくろうという仮説をたてました。ただ、単に原価を下げても収益の確保ができないし、機能をそぎ落としてしまうことでデメリットも多く生まれます。それで実施できる根拠もなかったのでやめました。

次に考えたのが、ゲーム機の付加価値をもっと世に知らせて売ろうということも考えました。例えばテレビが録画もできるとか、ブルーレイ機能もあるのだとかそういうものです。実はこの内容を2回目の中間発表会で報告したのですが、ゲーム機そのものの魅力がなくて付加価値だけで販売台数を増やすことなどできないだろうという質疑がありこの案も取りやめました。

そして先ほどの案に行き着いたのですがそれは、教授からプリンターの話を聞いてヒントを得ました。プリンター本体価格は利益が薄いですが、先の市場浸透価格戦略でシェアをとりその後のインクカートリッジなどで収益をあげていく、それがゲーム機本体でも可能なのではないかと考えたわけです。

なるほど。

その他にも試行錯誤していく過程で仲間同士、意見が割れるなど大変なことも経験しました。授業だけの時間だけでは調整できないぐらい意見が分かれることもありました。そんなとき、最初はメールなどでやりとりをしていたのですが、それではコミュニケーションがとれないとわかって、必ず顔を見合わせて意見交換するようにしました。みんなスケジュールが違いますからその調整も大変でしたが、これが何より良い経験でした。


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貴重な経験ですね。

意見は分かれるものですよね。みんな真剣に考えているから特に。今回も自分の思い通りになることの方が少なかったです。ただその時に、何も議論しないで妥協するのでは成長がないですし、建設的に意見を交わして1つの結論をまとめていく。この過程こそが大事だったのだと感じています。

いい仲間に巡り会えましたね。

はい。最初に話をしましたが多くの学生に出会え、いろんな自分とは違う価値観に出合えるのが愛知学院大学の良さです。そのことに間違いはありませんでした。

今は卒論で忙しいときでしょうか?

卒論はケータイ、モバイルマーケティングのことを追究しています。ケータイを使ったクーポンの利用、新規のお客様から再来訪を促す手法など調べまとめるつもりです。最近、流行してきたiphoneなどのスマートフォンのことも取り上げるつもりです。

最後に高校生にひと言お願いします。

愛知学院大学にはいろんな形で人と触れ合う場があります。同学部同学年は言うまでもなく、教養科目では他学部の学生とも話す機会がありますし、マーケティング・インカレでは他大学との交流もできます。他にもサークルや僕も活動をしたSA(※)など、多くの場面で様々な人に出会えるのです。その出会いを大切にし、いろんな話をしていったなら、悩んでいることも自分が将来やりたい道も必ず見えてくるはずです。愛知学院大学の学生はみんな話がしやすく、しっかりした仲間ばかりです。是非、その輪に飛び込んでキャンパスライフを楽しんで欲しいと思います。

※SA(スチューデント・アシスタント)。
SAは在学生の中から推薦され、まだキャンパスライフに慣れない新入生をサポートする。例えばカリキュラムの組み方など大学に来てわからないことなど相談を受け、SAがアドバイスをする。愛知学院独特の支援制度。


取材を終えて

高校生の時に、大学へ行って学びたいことを1つに絞ることは難しいことかもしれません。 今回取材をさせてもらった加藤君もその一人でした。ただ幸いにも愛知学院大学には彼がやりたいこと双方を満たすコースがあり、仮登録後をした上で、本登録を行うなど選択までの過程が非常にフレキシブルです。いわば学びながら自分のやりたいことを見つけることができる環境が整っているのだと感じました。また活躍の場を外に見出している名古屋マーケティングのインカレの話は非常に印象に残りました。何よりも自らがテーマを決め、自らが試行錯誤し研究し発表していく姿はまさにアカデミックな大学での学びを象徴しているように思います。取材中の加藤君の充実した自信に満ちた表情がこの愛知学院大学での充実ぶりを物語っています。暑い中の撮影、取材、お疲れさまでした。貴重な話をありがとうございました。

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