3年連続通ったオープンキャンパスで見えてきた魅力。

苅谷 憲司(かりや けんじ)さん 歯学部歯学科 4年生

歯科医師をめざしたきっかけを教えてください。

幼い頃からの憧れです。憧れというと軽い感じに聞こえるかもしれませんが、相手のことを考えた言動や周りへの的確な指示、そして治療に必要な技術。全てが子供ながらに凄いと感じました。

実家は歯科業を営んでいるのですか?

いえ。そうではないです。歯学部の学生はもちろんその環境で育って学んでいる人も多いですが、僕は違います。逆にめったに触れられない環境だったから、より強くその印象が残り、歯科医師になりたいと思ったのかもしれません。

本格的に歯科医師になろうと思ったのはいつですか?

高1です。僕が歯科医師をめざしていることを担任教師も知っていたので、1年生の頃から歯学部のオープンキャンパスへ足を運びました。

高校1年生の時からオープンキャンパスへ?

はい。そうです。愛知学院大学以外も多くのオープンキャンパスへ足を運びました。ただ、ここは他の大学とは全く違いました。3年連続で足を運んだぐらいですから・・・

3年連続!凄い。他の大学との違いをどのように感じたのですか?

まず歯科医師国家試験の合格率の高さです。合格率が単年で高いのではなく1961年に私学で戦後始めて設立されて以来、全国トップクラスです。新卒者における合格率も高くその点に大きな魅力を感じました。

それだけの合格率を維持しているものは何なのでしょうか?

やはり学部設立以来、培ってきた教育環境、教授をはじめ教職員みなさんの熱心な指導・サポート、さらには臨床実習の充実ではないでしょうか。

そういったことがオープンキャンパスでも感じ取れた?

はい。まず教授の話が印象的でした。特に印象に残っているのは「身体の健康を考える上で歯を含む口腔(こうくう)の健康を考えることが重要なこと」という話でした。食べ物は全て歯で咀嚼(そしゃく)されて身体の中に入ってきます。つまり、人間の身体が栄養を摂取する入り口で重要な役割をするのが歯なわけです。歯を含む口腔(こうくう)が健康でなければ身体は健康にならない。考えたなら当たり前のことですが、その話を聞いてますます愛知学院大学の歯学部に行きたくなりました。

その他にも魅力と感じたことはありますか?

歯学部附属病院の見学も刺激的でした。この附属病院での臨床実習は特に定評があります。ここには最新の医療設備や医療機器があり、この最先端の診察現場で、実際の治療を体験します。それは当時高校生の僕が十分理解できるほど質の高い環境でした。

なるほど。

ひと言でまとめれば、歯科医師をめざす全ての環境が整っているということです。僕は高1の時、ここに初めて足を運んですぐに「絶対に愛知学院大学へ入学したい」という強い意志を持ちました。それだけ強く愛知学院大学歯学部の魅力を感じたのです。


充実したカリキュラムと実習環境。

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実際、大学に入学してからの印象はどうですか?

学年が上がるにつれ専門度が増し充実していく実感があります。現在、僕は4年生ですが実習がとても充実してきています。今までのことを振り返ってみると1年次は教養教育科目で幅広い教養を身につけながら歯学の前提となる基本を学びました。2年次から歯学に関する専門学習がスタートし歯科医師になるための知識、技術、態度を網羅した教育を受け、3年次から様々な専門度が高い実習が増えてきた、そんな感じです。

1・2年次の実習はどんなことを行うのですか?

1年次は歯科医療施設見学実習があります。これは自分たちで施設にお願いをして実際の現場に立ち会わせていただくものです。当然まだまだ知識もなく、何もできないのですが、4年生になって多くの知識が身についてきた今、この経験を振り返ると大変貴重に思えます。「あの時、見学していたことはこういうことだったのか」と理解できます。

2年次の実習は主に人体、歯、細胞など、それぞれの構造や機能に関わるもので、それらを理解するために絵を描いたり、解剖などを通じ理解を深めていきます。そもそも歯科医学は医療の一部なので身体に関わる学びが必要となってきます。特に人体の構造は身体全体を知る上で重要ですし、細胞の構造は歯学にも大いに関わることなので大事な実習となります。

そしてその実習が3・4年次の実習につながるのですね。

3年次は2年次の流れを深めた感染と免疫、生体と薬物などの薬理学的な基本実習から本格的な歯学実習となる全部欠損補綴(ぜんぶけっそんほてつ)の実習など専門性が高まってきます。一方で病因・病態・診断実習のように実際の診断を想定し患者さんとのコミュニケーションを意識した実習もあります。

全部欠損補綴の実習内容を教えてください?

その実習では、すべての歯を失った患者さんに装着する総入れ歯(全部床義歯)を製作しました。技術的には数ミリ、いやそれ以下の噛みあわせのズレも許されません。また総入れ歯は心理的な負担も多く、つけ心地や見た目の良さはいうまでもなく、患者さんの心のケアも大事になってきます。

なるほど。

僕はこの実習を通じて、歯科医師は常に患者さんの立場で考え、行動することが大切だと再確認できました。そのためにはコミュニケーション能力が重要です。実はコミュニケーションが大事だということはこの実習に限らず、普段の講義から常々教えられていることです。知識や技術は言うまでもなく、まずはひとりの人としてどう接していくのか、それが大事なんだと改めて学びを通じて感じているところです。


歯科医師として大事な技術力。

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確かに年々、実習が充実してきているのが伝わってきます。

さらに4年次はその専門性が深まり、部分欠損補綴冠・橋義歯補綴など実習は専門的、技術的な要素が高まります。

苅谷くんの話から楽しさは伝わってくるのですが、製作は難しくないですか?

確かに製作は細かな作業も必要です。噛みあわせのズレなどがあると身体に影響を与えますし、ひどくなると偏頭痛や肩こりなどの症状も出てきます。製作にはそういった配慮が欠かせません。ただ僕は元来、物づくりが好きなのです。中でも彫刻は特に好きで、自然を描写したり、創造したりして作品にしていくことが得意でした。そういった創造、製作が好きで手先を動かすことも好きなので実習が楽しく感じられるのかもしれません。

彫刻と歯科技術とは違う気がしますが・・

そうですね、確かに僕が彫っていた彫刻は二次元の世界で今の製作は三次元です。また心を持った人が相手ですから対象も違うわけです。ただ、僕がここで言いたいことは歯学において技術力は重要だということです。患者さんが治療をうける施設面の充実やコミュニケーションも大事なのですが、それはこの技術力が保証されている前提があってのものだと思うのです。

例えば虫歯を削る、金属でかぶせものをする、それだけでも正確さ、速さが求められます。治療において常に患者さんは不安です。だから「正確に、速く」は大事な要素なんですよね。それを最も補ってくれるのは技術力だと感じるわけです。

なるほど。

「技術は後からついてくる」など様々な意見がありますが、技術の差というのは患者さんには見えにくいものです。以前、通っていた所との比較などはできますが、現実2つの歯科医院に同時に通うことはないので比較することはできません。目に見えにくいものだからこそ、提供する医師が日々研究や努力を重ね、その技術を実践しなくてはならないのではないでしょうか?

確かに歯科医療の世界も今は役割ごとに分担されていて、製作物においては歯科技工士の存在もありますが、最終的に患者さんに治療を施すのは歯科医師です。その点を忘れてはならないと思います。

そう考えると改めて実習も大切なことがわかってきます。

今までの実習ももちろん大事ですが、5年次からの臨床実習は特に重要だと感じます。この実践的な実習カリキュラムが組まれているのは愛知学院大学歯学部の大きな特長の1つです。僕たちは恵まれた環境にいますし、この環境を生かさない手はありませんね。しっかり技術を習得したいと思います。


部活動から学んだこと。

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講義や実習の他に愛知学院大学へ来て印象に残っていることはありますか?

部活動で、バスケットボールをやっています。このバスケットボール部は歯学部の学生だけで構成されていて部員はマネージャーを合わせて30名ほどです。

歯学部というとカリキュラムが詰まっているイメージがありますが・・・

確かにそうです。1限目から4限目までびっしり詰まっています。その上、当然、試験などもあるわけですから、部活動との両立は気を引き締めていかないと成り立ちません。

その多忙な環境の中、バスケットボールをやろうと思ったのはなぜですか?

先輩に勧誘を受け、その先輩方々が非常に良い人だったということが一番の理由です。もちろんバスケットボールが好きで楽しいから、ということはありますが、それだけでは大学でバスケットボール部に入部しようとは思えなかったでしょうね。

1週間にどれぐらいの練習を?

週3~4回で1日3時間ほど練習をします。本当はもっと活動したいですが、先の話どおりカリキュラムが詰まっているのでこれでも精一杯な範囲です。もちろん部活動ですから単にプレーするだけではなく、組織づくり・会計・練習メニューの作成など部活動に関わる全てのことをキャプテンや幹部を中心に運営していきます。

学生が主体となっての運営ですね。

はい、そうです。それも単なる活動だけではなく、僕たちのような歯学生だけで構成されるバスケットボール部の全国大会(オールデンタル)もあり、普段はその大会に向けての練習に励んでいます。

それは本格的。

僕はありがたいことにキャプテンに任命してもらい、そのオールデンタルで昨年、今年と見事優勝できました。昨年はバスケットボール部、創設以来の優勝。そして二連覇。先輩、後輩、みんなに支えられながら一致団結して成し得たことが、言葉では伝えきれないほど本当に嬉しかったです。

凄い!

厳しい練習もみんなでやってきました。それに全員が応えてくれました。バスケットボールも団体競技なので、チームバランスが大事です。みんなのモチベーション維持など、練習する環境を整えていくことにも気を配りました。ただそれはキャプテンの僕だけが頑張ったのではなく、メンバー全員がその環境をつくり練習に励んだからの結果なのです。全員でつかみ取った勝利ですから嬉しさもひとしおです。


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バスケットボールの活動を通じて学んだことはありますか?

多くのことを学びましたが何か一つあげるとすれば、「こうやったらうまくいくとわかっていても、それが実行できない」そのもどかしさを感じ取ることができた点です。経験を積んでくれば頭の中では何事もうまく組み立てられます。ただ実際、実行に移そうとすると様々な障害がでてきます。ましてや僕ひとりの問題ではなく、チーム全体に関わることになれば思うようにいかないのが普通だということです。

そんな時はどうしたらいいのですか?

僕の場合は先輩に話を聞きにいきました。「どうしたらいいのか?」と。そこで先輩は自分たちが積んだ経験をもとにアドバイスをしてくれました。その課題をクリアするには理想論だけではなく現実にどう落とし込んだらいいのか、そのギャップを埋めないといけません。その経験ができたことが何よりありがたかったです。

歯科医師になったとしてもチーム連携は必要ですよね?

先に話をした歯科医師の技術を身につけるかは自分次第です。バスケットで例えるなら個人プレーの範囲、個人の努力が左右します。ただそれだけでこの仕事が成立するかといえば、そうではありません。専門技師さんや他のスタッフとの連携やチームワークが必要になるでしょう。そこでは「うまくいかない」こともでてくる。そのことを僕はこの部活動で経験することができました。それは将来においても大きな意味を持つと思うのです。

良い経験をしましたね。

歯学部での学び、実習。確かにそれだけでも厳しい環境ですが僕はこのバスケット部での活動、カッコよく言うとこの文武両道の環境が自分を成長させてくれたと思うのです。本当にみんなに感謝しています。


見えてきた将来。高校生へ送るメッセージ。

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将来はもう決めているのですか?

はい。口腔外科医の道へ進みたいと考えています。歯科医師国家資格取得、卒業後、大学病院で口腔外科の専門医としての経験を積むつもりです。口腔がんの治療には特に興味があり、そのための研究、技術も身につけていきたいです。

医療にも大きく関わる重要な分野ですね。

口腔外科医は血液検査、CTやMRIなどの検査業務から大がかかりな手術など一貫して業務に携われないといけません。つまり歯とはいえ身体全体に関わってくる分野なので大学卒業後に相当の研究、経験を積まないといけないでしょう。大変だとは思いますが、やりがいがある仕事だと感じられます。

最後に高校生や受験生にメッセージをお願いします。

ひょっとしたら歯科医師は実家が歯科業を営んでいないとそのチャンスに恵まれないのではないか?と考えている高校生がいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。ここ愛知学院大学でもそうでない学生は多くいます。ひと言で歯科医師といいますが、活躍の場は多岐にわたりますし、医療としての重要性はますます高まることでしょう。あと、歯科医師において技術力は重要です。その技術を身につけるには愛知学院大学のようにその環境が整っている大学を選んでほしいです。あとは部活。忙しくても勉学以外の活動にもチャレンジして欲しい。得ることが本当に多くありますから・・・・


取材を終えて

苅谷くんと話をしていて歯学はまさに医療の一部で身体全体に関わっていることが再認識できました。またその治療技術の習得は重要で、歯科医師をめざす人は、知識面はいうまでもなくその技術が身につく環境で学びを得ることが大事だということも理解できました。まさにその環境がここ愛知学院大学歯学部には整っているのですね。またバスケットボール部の話も印象的でした。苅谷くんの情熱や先輩、後輩への感謝も存分に伝わってきました。「自分の思い通りにいかないこともある」。その環境下の中でも1つの目標に向かって力を合わせて優勝していく過程は感動を覚えました。文武両道。古い言葉かもしれませんが苅谷くんがその大切さを教えてくれました。撮影から長時間にわたり、本当にありがとうございました。

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