同級生との偶然の再会。目覚めた将来の夢。

濱本 知宏(はまもと ともひろ)さん 法学部 法律学科 3年生

愛知学院大学の法学部へ行こうと思ったきっかけを教えてください。

高校生のときに、 将来は弁護士になりたいと思いました。 弁護士になるためにその基本となる法律を基礎から応用まで体系的に学べる大学はないかと思い、 たどりついたのが愛知学院大学です。 愛知学院大学法学部は設立が昭和32年で既に54年、 半世紀以上の歴史もありその積み重ねてきた実績・信頼も選択理由の1つです。

弁護士になりたいと思ったきっかけは何でしたか?

高校生のときに、 小学校時代の同級生に地下鉄で偶然に出会いました。 その同級生が当時、 検察官になりたいと言っていたのを急に思い出して「今も検察官になりたいと思っているの?」と話しかけました。 「そうだよ」との返答と「濱本君は法曹の世界が向いているのでは」と話がありました。 法曹の世界はそれまで考えてもいなかったのですがその同級生との話をきっかけに強く目指したいと思うようになりました。

何がきっかけになるかわかりませんね。

そもそも、その同級生を小学生の頃から尊敬していました。また、再会して話をしたときも、1つの夢をずっと歩んできていたことに対して素晴らしいと思いました。その再会以来、同級生とは会って話をしていませんが、また会った時には成長した姿で御礼を言いたいと思います。

高校生のときには法律など特別に学習しましたか?

いいえ、特別に学習したことはありません。知ってのとおり、高校では「法律」を学ぶ機会がほとんどありません。ですから大学では法律を一から学習することになります。そう考えると法律の基礎をどこまで学べるのか?それが重要です。基礎なくして応用はありませんから。愛知学院大学はまずその部分でも熱心に教育してくれる大学だと期待して入学しました。


基礎から応用。体系的な学び。法律が楽しくなった瞬間。

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実際、入学してみてどうでしたか?

1年生は憲法、刑法、民法など六法の基礎を中心に学び、学んだことを繰り返し覚えていく、ひと言でいえばそんな感じです。基礎というと簡単に聞こえるかもしれませんが、例えば民法であれば総則(※)を学びます。その他にもその法自体の歴史や事例も含め学習していきます。

(※)総則
全体に通用する一般的・包括的な規定のこと。民法総則は第1章の通則、第2章の人、第3章の法人、第4章の物、第5章の法律行為、第6章の期間の計算、第7章の時効からなり、第1条から第174条の2までがこれに該当する

法律を学んでいない私には少し難しく感じます。

僕も最初は難しく感じる場面もありました。法律についての専門科目を学ぶのは初めてですから、耳慣れぬ言葉もあります。しかしそう感じたのは最初だけで授業が進んでいくうちにとても楽しく感じるようになってきました。

どういった場面から楽しく感じ始めましたか?

法律用語を理解し始めたときからです。例えば「推定する」と「みなす」。日常会話ではほぼ同等の意味で使われているかもしれませんが、法律用語としては全く意味が違います。このように法律を学ぶ前までは全く意識もしなかったことに意識がいくようになる。それを理解することができるようになる。その学びの過程が非常に興味深いのです。

「推定する」と「みなす」はどのように意味が違うのですか?

この2つの用語の大きな違いは反証(※)によって覆(くつがえ)るか覆らないかです。「推定する」は反証によって覆りますが、「みなす」は反証によって覆りません。

そんな違いがあるのですね。

例えば民法第772条第1項には「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」とあります。これは一端、夫の子として考えようということで、夫の子でない反証があればそれを覆すことができます。これに対して民法第753条には「未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したとみなす。」とあります。未成年者はその言葉のとおり、通常であれば成年ではないのですが、婚姻をしたときは未成年者でも成年となる、つまりこのことは法律上確定していることであって、誰がどんな反証をもってきたとしても覆ることはないのです。

(※)反証(はんしょう) デジタル大辞泉引用
1 相手の主張がうそであることを証拠によって示すこと。また、その証拠。反対の証拠。「―を挙げる」 2①訴訟法上、立証責任のない当事者が、相手方の申し立てた事実・証拠を否定する目的で提出する証拠。⇔本証。 ②ある推定をくつがえす事実を証明すること。

日常では、全く考えない世界です。

そうなんですよ。法律を学ばなければ考えることもない世界です。でも法は人と隣り合わせで身近にあります。法律を考えるということは身近な家族のことなど日常を考える上でも大切なことだと思います。


将来像に合わせた3つのコース。

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2年次はどんな感じでしょうか?

1年次が憲法、刑法、民法など法学の入門科目、基礎を学ぶ「土台づくり」とするなら、2年次はさらに深くかつ多様的なアプローチが特長です。例えば憲法の流れで行政法を、民法の流れで商法を学ぶことで、知識に広がりを持たせていきます。また、目標とする将来像に合わせて「総合コース」「公法コース」「ビジネスコース」3つのコースから選択し目標に合ったカリキュラムとなっていきます。

どのコースを選択したのですか?

総合コースです。憲法、民法、刑法の、より発展的な内容を学ぶとともに、商法、刑事訴訟法、民事訴訟法など法律学全般におよぶ科目を履修していきます。法律に関する専門分野の受験や法科大学院(ロースクール)への進学をめざす人、司法書士や行政書士などを志望する人に適したコースです。弁護士をめざす人はロースクールへの進学もあるのでこのコースが良いと思います。

3年次はどんな感じでしょう?

専門性を深める感じです。 特に専門演習Ⅰは15名程度のゼミ形式で自分の意見を論述します。 1つのテーマに対してそれぞれ自分の意見を述べ合うことは高校までの授業ではほとんどないですから、 ゼミは大学ならではのアカデミックさを感じます。

専門演習Ⅰ(ゼミ)ではどんな学習をしていますか?

鈴木伸智 准教授のもと、主に相続や婚姻・離婚について学んでいます。鈴木先生の授業は1年次の後半に一度受講し興味をもち、専門演習Ⅰでより深く学びたいと思い選択しました。相続や婚姻・離婚というのはわたしたちの身近にある事柄です。離婚は別として婚姻も相続も必ず関わるでしょう。僕は身近にあることについて深く知ることは大切だと感じています。鈴木先生のゼミはその僕が大切にしていることを学習できると思い選択しました。

ゼミの進め方はどういった感じですか?

鈴木先生のゼミは先生が相続や婚姻・離婚など専門分野についてテーマを出します。それに対して自分たちで調べ発表するというものです。僕たちが担当だったときは離婚意思について発表しました。実際の判例、結果を調べ、学説も読み解くわけです。その発表後に他のゼミ生や先生からも意見をもらうのですが、その際に「こちらの違った学説から考えると結果も違うのではないか?」、「結果は同じでも、考えるアプローチが違うのではないか?」などの意見が飛び交いました。


多様な視点を身につける。

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それは奥深い。

法律自体は過去からの判例もありそれを学ぶだけでも大変に感じるかもしれません。ただ僕は自分で考えて、新しい見解も見つけていきたいと思っています。従来の考え方も悪くはないけれど、もしかしたら別の考え方もあって違った方向に導けるのではないのかと考えてみたいわけです。

なるほど。

山登りが例えになるかどうかわかりませんが、 頂上があり、 でもそこへ辿りつくルートはいくつもあります。 法律という決まりきった1つの物事を多様なアプローチで考え、また改めて集約させる。 うまく表現できませんが視点を変える、 さらにその見方を豊富にすることはこの多様で複雑化した社会には必要だと思います。 人、一人ひとりが1つのことだけを考えるのではなく多様に考えていかなければ、 この世の中、 通用していかないわけで、 そんな世の中だからこそ大切な視点ではないでしょうか?

確かにそう思います。

個人的にも従来と変わらない1本の道を歩んでくだけでは物足りないですし何も変わらないと思います。そうではなくて、いろんなルートを歩いていって違う見解を探すことによって新たな答え、頂上が見えると思います。

その視点は大事ですね。

法律とどう向きあっていくのか。それは社会の変化と共に考えていかないといけない大事なテーマです。法は人と隣り合わせ。日常の中にあり生活に密着しています。僕はこの愛知学院大学で必要な多様な視点を確実に身につけていっていると感じています。

4年次も引き続きこの内容を学ぶのですか?

いえ、4年次は違う内容を専門演習Ⅱとして履修することができます。最初に話をしましたが多様な視点を持つためには今年、学んだ専門科目以外のことを深めることが重要だと個人的には感じているのでまた新たな学びを得たいです。


弁護士への道。法科大学院の存在。

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弁護士になるために大学卒業後はどういう進路をたどるのですか?

僕は法科大学院(ロースクール)への進学を目指しています。今はその受験勉強もしています。ロースクールは既修者2年のコースと未修者3年のコースがあり僕は基礎からしっかり学んでいきたいので未修者3年のコースを選択する予定です。

大学卒業後さらに3年間法科大学院へ行くのですね。

そうです。そして法科大学院を卒業してから5年以内で司法試験を受験できるのは3回。その3回以内で合格をしないと弁護士にはなれません。この受験制限を考えても3年かけて法科大学院で学んだ方がより効率的だと感じています。

厳しい世界です。

法を扱う人ですからそう誰でも弁護士というわけにはいかないでしょう。司法試験も平成23年までが新司法試験と旧司法試験の併用時期(※)で僕たちが司法試験を受けるときは新司法試験に完全に移行されている予定です。法科大学院で学び新司法試験を受けることが弁護士になる道の原則である以上、僕たちはそのルールや条件に則って学習あるのみです。
(参照 新司法試験 旧司法試験 法務省ページ)

(※)平成23年の旧司法試験
平成23年の旧司法試験は、平成22年の第二次試験筆記試験に合格した者に対する口述試験に限り実施される。


めざす弁護士像。

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将来はどんな弁護士になりたいですか?

まず「法律を人の役に立てたい」。 これが僕の基本となる信条です。 と考えていくと民事中心で身近にあるトラブルを解決したいとの思いがあります。 一般の人はトラブルに巻き込まれた時に誰を頼って良いのかもわからず路頭に迷ってしまうでしょう。 僕はそういったときに頼ってもらえる弁護士、 力になれる弁護士を目指したいです。

一般の人にとっては弁護士って遠い存在に感じます。

そうですよね。だからこそ僕が力になりたいです。そのためには残りの大学生活、法科大学院を含め益々学習に励まないといけませんが必ず成し遂げたいと思います。少し古い映画ですがジョン・トラボルタが主演の『シビル・アクション』という映画を先生に勧められてDVDを観ました。これは実際あった話を映画化したものです。ジョン・トラボルタが弁護士役で最初は金儲けばかりを考えて行動するのですが、最後は破産するまで事件に没頭し、人のために取り組むという内容で、その映画にとても刺激を受けました。もちろん簡単に真似できる内容ではありませんが、困難な物事をクリアしていく弁護士としての力、その心意気を自分も持ちたいと思いました。蛇足ですが、この『シビル・アクション』はアメリカの法科大学院生はみんな観るそうです。それぐらい模範となる映画なのです。

この3年間の愛知学院大学を振り返ってみていかがですか?

とても充実しています。何よりも大学へ来るのが楽しいですから。あとSA(※)やオープンキャンパスのお手伝いなど、いろんな人と触れ合うきっかけがあり嬉しいです。これだけ幅の広い学部学科を超えた人のつながりは愛知学院大学が総合大学であるからですし、様々な考えや価値観の学生と意見を交わせることは大変有意義なものです。オープンキャンパスでは高校生とも触れ合うことができ彼らの発言からも学びが多いです。

(※)SA(スチューデント・アシスタント)。
SAは在学生の中から推薦され、まだキャンパスライフに慣れない新入生をサポートする。例えばカリキュラムの組み方など大学に来てわからないことなど相談を受け、SAがアドバイスをする。愛知学院独特の学生支援制度。

是非、弁護士になって欲しいです。

はい。出会う大人のみなさんからも絶対に弁護士になってよと期待をいただいていますし、学部を超えて応援してくれている仲間もいます。身内の話ですが高校時代に亡くなった祖母は僕を本当に可愛がってくれていたのですが何もいい所を見せられませんでした。その祖母のためにも頑張りたいですし、もちろん弁護士をめざすきっかけをくれた同級生にも堂々と再会したいです。道のりは長いですがその期待に添い、みなさんに頼ってもらえる弁護士をめざしたいです。

最後に高校生にメッセージをお願いします。

いま、出来ることをまずやる。次に何をやるべきかを考える。自分のためにというのももちろんのことですが、人のためにできることを考えて欲しいです。あと、人との出会いを大切にしてください。運命は自分で変えることもできるけど、周りで変わることもありますから。


取材を終えて

真っ直ぐな眼差し。礼儀正しく1つ1つの言葉を噛み締め発する姿は既に大人としての存在感がありました。それでいて偉ぶることなく時折みせる笑顔が印象的でした。法律と聞くだけでどこか自分たちには関係の無い遠い存在に思えます。しかし濱本君の「法と人とは隣り合わせ」という言葉に象徴されるように実は身近で大切なものなのだと実感できました。弁護士になることは容易ではないでしょう。それでも基本を大事にしながら一歩一歩、階段を確かめるように登っていく。途中、違ったルートも選んでみる。彼の生き方は多様化・複雑化した社会において法曹の世界においてとても重要だと感じました。そして人としての暖かさ。彼の人柄の良さは多くの人を魅きつけます。まだまだ道のりは長いと思いますが弁護士に必ずなってください。そして多くの人を助けて欲しいと思います。貴重な時間をありがとうございました。大変有意義な取材でした。

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