多彩で横断的な学び

濱本 知宏(はまもと ともひろ)さん 法学部 法律学科 3年生

愛知学院大学文学部歴史学科を選んだ理由を教えてください。

愛知学院大学の歴史学科は「日本史」「東洋史」「西洋史」「イスラム圏史」「考古学」の5つの分野を網羅しています。全国的にみてもこれだけ網羅している歴史学科はほとんどありません。

それは選択肢の多さがメリットと感じられたということですか?

もちろん選択肢の多さはメリットです。 1年次には全ての分野の基礎を学びます。 そこで自分がどのコースに興味を持っているのかも確認ができます。 例えば、入学時は日本史に興味を持っていたけれど学んでいくうちに西洋史に興味をもつということもあります。 ただそれだけが魅力なのではありません。

他の魅力とは何でしょうか?

それぞれの分野を横断的に学べることです。2年次より自分が興味をもった専門コースを選択し学んでいくわけですが、例えば西洋史のコースを選択しても日本民俗のことは学んでおきたいのであれば、それも選択することができます。

なるほど

また、各分野を横断した学びができるということは、多視点から1つのことを考えることができるということです。西洋史の観点からだけ西洋史を学ぶのと日本史やイスラム圏史と絡めて考えるのは、1つの史実の解釈も変わってくると思うのです。その考える要素が多いほど多様な見方ができます。

確かにそうですね。

1つのことを深く専門的に学ぶということは、何もそれだけを狭い範囲で考えることではなく、幅広い観点から考えて結論を出していくことだと思うのです。一見、関係のない出来事に関連性を見出す。そんな視点も身につきます。そういった意味でも愛知学院大学の歴史学科はとても良い環境だと感じています。


歴史の背景に魅力を感じる。

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そもそも歴史に興味をもったきっかけは何だったのでしょうか?

小学生の時にNHKの歴史番組『その時歴史が動いた』を観ていたのがきっかけです。両親とも歴史が好きで、もちろんこの番組も一緒に観ていましたが、家族みんなで世界遺産や伝統工芸への興味から良く旅行していたのも歴史が好きになった理由の1つです。

ご両親も歴史が好きなのですね。

元々、両親は「旧いものを大切にする」意識が強く、それは両親に限らず代々そういう考えをもっていたようです。私だけでなく、姉も大学では東洋史を専攻していたことを考えてもその影響は大きいと思います。

お姉さんも東洋史専攻だったとは驚きです。

そんな家族なのでみんな、仲がとても良いです。2年ほど前にも兄弟姉妹で旅行に行ったのですがお香づくりや伝統工芸の体験に出かけるなど、私たちの旅行には必ず歴史が絡みます。

そのような環境下でどのように歴史に興味を持っていったのですか?

織田信長などの名だたる武将や坂本龍馬などまずは歴史上の人物に興味を持ちました。「それぞれの人が何をしたのか?」その事実を知ることに興味を持ちました。その後は「誰が何をした」という観点だけではなく「なぜそんなことをしたのか?」とその歴史の背景に興味を持っていきました。

なるほど。

新選組にも深く興味を持ったのですが、一人ひとりがどういう人物だったのか、ということだけではなく、最初はそんなに力がなかった新選組が「なぜあれだけの影響力を持つようになったのか?」と考えるようになりました。つまりその背景にあるものを感じとることで益々、歴史が好きになっていきました。


国々が絡みあう西洋史の魅力

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ところで坂口さんはどのコースを選択しているのですか?

西洋史コースです。小・中学校では日本史が好きでしたが高校の頃から世界史に興味をもつようになりました。

世界史に興味が移ってきた理由は何だったのですか?

第一次世界大戦、 第二次世界大戦つまり2つの世界大戦に興味を持ったからです。  2つの世界大戦は多くの国々が絡みあっています。  また、半世紀に満たない期間で2つの大きな大戦が起きています。  そのことも興味深かったです。

興味深い視点です。

それぞれの国の自国の文化や背景によって動いてきた歴史が、戦争で絡みあっていくわけです。大戦に参加した国の年史は1914年~1918年は第一次世界大戦となるわけで、他国に影響されながら自国の歴史が刻まれていく様は史料を見ているだけでも世界が同時に動いているようで何とも不思議な感じがしました。

なるほど。

その中でも極めて興味を持ったのはナチスそしてヒトラーの存在でした。あの独裁者ヒトラーですが、独裁者になるまでの過程は全く知りませんでした。彼の幼少期はどうだったのか?なぜ力をもつようになったのか?などその背景に興味を持ったのです。

そういった興味が西洋史へと惹きつけていったのですね?

実際その時代に私が生きたわけではないので真実はわかりません。ただ歴史には残された書物や多少の伝聞をもとに限られた情報の中で推測していく楽しみがあります。ヒトラーにおいても「幼少期は身分も低く人から見下されていた。その悔しさからエスカレートしていったのではないか?」とか、「なぜアーリア民族を中心に置いた民族主義を展開していったのか?」とか、わからないことばかりです。高校までの歴史の学習ではそこまで深く学びませんから、その好奇心が私を西洋史、歴史学科へ導いてくれたのだと思います。


深く掘りさげる楽しみ

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他にはどんな興味を持ちましたか?

王家の交わり方に深く興味を持ちました。

えっ?王家ってあのハプスブルク家とかですか?

(笑いながら)そうです。それです。王家も1つの国に留まらないで色んな近隣の国々に影響を与えていきます。いま、ハプスブルク家の話がでたのでそれを例にすると彼らは中世の時代から20世紀初頭まで長年大きな影響力をもち、オーストリア、スペインなど多くの国々の国王、皇帝を輩出し、ドイツにも多大な影響を及ぼしています。それも「なぜ?」って感じましたし、そう思ったら学習していきたくてたまらないわけです。

楽しそうです。

まだまだあります(笑)。ロマノフ王朝のニコライ2世にはアナスタシアという娘がいたのですが遺体が発見されないことから憶測が飛び交い「私は行方不明になっているアナスタシアです」という人が続出しました。1990年代にDNA鑑定などがされ、結局は見つかっていないのですが、なぜそんなことになっていったのか書物を読んでも結論がでないんですね。でも気になる。調べていきたくなります。

興味深い話です。

大学ってそういう所なんですよね。深く学んでいく。そのために幅広い視点をもつ。これが実現できる所です。私の友達は「戦争の武器の変遷」に興味をもち、それをこの大学で学習していますし、「燃料の変遷」を掘り下げている人もいます。そのきっかけは歴史に関わる映像だったりゲームだったり様々ですが、人それぞれのスイッチの入り方があってもっと調べたい、学びたい、その好奇心を形にしていく場なのだと思います。


愛知学院大学でのアカデミックな学び

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どのような授業を選択してきましたか?

1年次は必修科目中心です。日本史概説、東洋史概説、西洋史概説、イスラム圏史概説、考古学概説と一部選択科目、概して歴史の基本を学ぶ感じです。これらの学習の目的として幅広い歴史学習で興味を掘り下げていきます。あとは他学部と一緒に学ぶ教養部の授業がありました。他学部との交流もここで拡がりました。

2年次からはどうでしたか?

2年次で5つのコースに分かれ専門的な学習がスタートします。私は西洋史を選択しました。西洋史コースはルネサンスや宗教改革頃を境に、古代・中世を扱うAコースと、近代・現代を扱うBコースがあり、それぞれの時代やその時代の出来事を深く学び背景を探ります。2年次は基礎購読やそれらに関連する授業が中心です。西洋史以外には日本民俗学や朝鮮史も学びました。

先に話があった専門コースを選択しても違うコースの科目も受講できるとはこのことなのですね。

はい。 西洋史を学びながら日本のことを学ぶことで西洋史も多視点的に考えることができます。 また日本のことも西洋史の学びから違う観点が見つかります。 西洋と日本、 その相互の行き来が視点を深めるのにも活かされてきます。

3年次はどんな感じでしょうか?

3年次は2年次をさらに深める形でそれぞれの分野で求められる学力を確立します。専門購読では専門的な史料を読む力を養い、基礎演習ではテーマに対して自ら調べ報告する力を養います。

例えばどんな専門的史料を読んだのでしょうか?

わかりやすい例を出すと全文英文の史料を購読していったりします。特に私が選択したのは西洋史ですから史料が海外のものが多いわけです。例えば私が興味をもっていたナチスのこともヒトラーのこともその文献から深く知ったり、新たな疑問が生まれたりしました。こういった専門的な授業が高校までにはない、大学らしいアカデミックさですよね。愛知学院大学には貴重な文献も多いので非常に深く学ぶことができました。

他はどんな授業を選択しましたか?

世界史特殊講義では大航海時代のことを、また日本史特殊講義では幕末から明治にかけてのことを学習しました。まさに愛知学院大学の学びは深く、また横断的なアプローチによる多様な視野の育成に基づいたカリキュラム体系だと感じました。

先生に教えてもらったことで特に印象に残っていることはありますか?

「まずは疑え」という言葉です。これは何も否定的な意味の「疑え」ではありません。それは史実を単に1つの事実と捉えて考えるのはなく、その背景を探れということです。よく考えてみると歴史というのは答えがありません。また私たちが実際その時代を生きたわけではありませんから、それが本当かどうかということは正確にはわからないのです。だからこそ自分で調べていくことが大事になります。その史実に関わった人やその時代の考え方、価値観、そういったものをあらゆる文献を通じて学び、自分なりの解釈をしていく。歴史を学ぶ醍醐味はそこにあると思うのです。

なるほど。

自分で解釈していくからこそ、幅広い分野の見識と深く専門的な知識も必要だと言えます。単に一方向からみた見解では浅い歴史的解釈になってしまいますからね。そしてこのことは何も歴史の学びに限った話ではないと思います。現在、私たちが生きていく上でまた物事の本質を見極める上で大切な物の見方、考え方ではないでしょうか?


歴史学科の学びを活かして

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もう卒論のテーマは決まっていますか?

いま、何にしようかちょうど考えている所ですが、ロスチャイルド家について書こうと思います。

ロスチャイルド家?ですか。

はい。金融業を中心に活動しているユダヤ系の財閥のことです。その財閥の祖とも言われるマイアー・アムシェル・ロートシルトは5男5女をもうけ、オーストリア、イギリス、イタリア、フランスなど主要各国でも勢力を増していき250年近く立った今でも世界の金融に影響を与えている存在です。

初めて知りました。

私もTVを観るまでは全く知らなかったのですがその一家が金融という切り口で、世界での勢力を増していく様に非常に興味を覚えました。その考え方や戦略などに私の好奇心がまた駆り立たされました。18世紀後期から戦争で勢力や領地を拡大していくのではなく、金融・経済という分野で世界に勢力を拡大していった所に惹かれるのです。

実に興味深い着目点ですね。

今でこそグローバルなどという言葉がありますが、ロスチャイルド家はまさにその時代からグローバル。また歴史上の出来事や人物とも関わりが実に調べていく過程が楽しみです。

4年生ということは就職活動中ですね。

はい。私は公務員志望です。特に地元の市役所で働きたいと思っています。その思いを強くしてくれたのは2年次に経験したインターンシップです。

※インターンシップ…学生が一定期間企業などの中で研修生として働き、自分の将来に関連のある就労体験を行うことを指します。

インターンシップで市役所に行ったのですか?

そうです。 地元の市役所の生涯学習課で2週間仕事をさせてもらいました。 その時の職員の皆さんのあたたかさと、 仕事を経験する中で自分は人をサポートする仕事がしたいとの思いが強まりました。 特にその期間で経験した子供たちのリーダーキャンプの引率は私にその思いを一層深めてくれたのです。


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その時の話を聞かせてください。

まず驚いたのはインターンシップの2週間の期間でそのような責任のあることが経験できるとは思ってもいませんでした。1泊2日20名の子供を引率してのリーダーキャンプです。インターンシップでは単に書類をつくったり整理したりとそんなイメージでしたから最初その話を聞いたときは「えっ、私でいいんですか?」と聞きなおしたくらいです。

特に印象に残っていることは何ですか?

予定通りにならない出来事や突発的なトラブルへの対応です。その時、肝試しを予定していたのですがとある理由から予定場所を借りることができませんでした。結局は中止になったのですがその際に子供への説明をどうするかなど自分で考え行動ができたと思います。また突発的なトラブルでも同様に何が最善かを考え条件が悪い環境下で対応できたと思います。

それは良い経験をしました。

ある意味それはこの大学で習得してきたことと共通していると思いました。それは多視点から1つのことを考え抜き行動する力です。私は歴史を通じて、またこの大学での学びを通じてまさにこのことを習得してきたのだと実感した瞬間でした。

それはとても素晴らしい気づきだと思います。

歴史学科で学んだことは仕事をしてまた活かされると思います。私を育ててくれた地元でその学びを活かせたならそれは幸せなことです。

愛知学院大学へ来て良かったですか?

もちろんです。この大学での学びは多くのことを気づかせてくれました。自分が何をやりたいのかもはっきりさせてくれました。Teaching Assistant(通称TA 授業や自習時間での補助) でパソコンの扱いのサポートや教材の準備などの経験をしたことも誰かの役に立つ喜びを感じさせてくれる場でした。本当に感謝しています。

最後に高校生へひと言お願いします。

大事なことは「自分から動く」ということです。 大学では自分から行動しないとおもしろくありません。  自分から動くからこそ思いもしない発見や経験ができるのです。  そのためにまずは興味を1つ持って欲しいです。  どんなに小さな興味でもいいです。  それを深める場がここ愛知学院大学にはあります。


取材を終えて

坂口さんの話を聞いていて歴史学科の学びの奥深さが感じ取れました。 それは単に過去の史実を学ぶということではなく、そこに関わる人物、背景を多視点でみつめ真実を紐解いていくアプローチだということです。 その視点は情報過多である現代にもつながります。 「まずは疑え」という先生からのアドバイスは正にそのことを象徴しています。 表面の情報だけを捉えるのではなく多面的な事実や背景を探り自分なりの解釈をしていく。 そのために専門性だけではなく多面的な分野、思考を身につける。この歴史学科で習得できることは正にこの現代において必要なアプローチです。そのことを坂口さんは気づき行動しているのだと改めて感じました。  この春から秋に向けての公務員試験、是非がんばってください。  そして卒業旅行は、取材中行きたいと言っていたイタリアで世界遺産を存分に楽しんで来て欲しいです。  まだまだ肌寒い中での撮影、取材、ありがとうございました。

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