愛知学院大学心身科学部健康科学科へ進学した理由

杉山 宏輔(すぎやま こうすけ)さん 心身科学部 健康科学科 4年生

心身科学部健康科学科について教えてください。

健康を科学するという言葉のとおり、医学的な見地に基づき予防と治療の両面から健康にアプローチする、全国でも数少ない学科であり、適切な健康指導を行うことができる専門家の養成に力を注いでいます。また、取得できる資格が多く、文部科学省の指定する言語聴覚士養成所でもあり、「保健体育教師」や「養護教諭」の受験資格だけではなく、「健康運動指導士」や「言語聴覚士」といった資格の受験資格も取得できます。

杉山さんがこの学科を選択した理由を教えてください。

僕は幼い頃から陸上の短距離種目を続けてきました。その過程で、高校生の時に顧問の先生から技術的な指導だけではなく、適切な栄養の摂取と休養の必要性を教わりました。それはタイムを伸ばすためだけではなく、心身ともにベストな状態で試合や練習に取り組むことが大切だという教えでした。その教えから、ただ練習をやみくもに積めば良いというわけではなく、栄養や休養のことも含めて健康を考える必要があると感じ、そのことについて深く追究したいと思いました。

すぐにこの学科を探し出せたのですか?

大学に入ってからも陸上を続けたいと考えていたため、他大学の体育学部なども検討しました。ただ、僕は単にアスリートをめざしたかったわけではなく「健康と運動、両方を学びたい」と思ったのです。そう考えていくと、愛知学院大学心身科学部健康科学科への進学が当然の結論でした。

なるほど。

また、愛知学院大学の充実した施設や機器にもとても魅力を感じました。広いキャンパスにある、いくつものグラウンドはもちろん、さまざまな屋内実技科目の実地指導が行えるアスレチックトレーニングセンターや室内プールやトレーニングジムもあるAGUスポーツセンターなどの施設。そして、1秒を1000分割して見ることができるスピードカメラ、最大持久力や酸素摂取量を調べられる装置など、高度な機器が整っています。プロスポーツ業界でも使われるような、これらの機器を実際に用いながら種目に応じた実地指導が可能な施設、そして歯学部附属病院といった医療機関を持つ環境で学べることは、知識を得るだけではなく、実際に陸上競技にも活用できる期待がありました。


健康科学科での学び

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具体的に健康科学科での学びについて教えてください。

一年次は栄養、運動、休養という3つの専門分野の導入となる基礎を学びました。基礎とは言ってもかなり専門的な内容で、例えば「健康栄養科学入門」という授業では、食事のコントロールが健康維持、疫病治療にとって、いかに大切かを理解するために、糖質、タンパク質、脂質、ビタミンなどの栄養素、その代謝について学びました。

専門性が高すぎて難しいと感じたことはありませんでしたか?

確かに、入学後すぐは難しいと感じたこともありましたが、先に挙げた健康栄養科学入門の授業では、例えば「なぜ野菜を食べなければならないか?」などといった身近にある疑問から入り、野菜に含まれる栄養素とその役割について学び進めていったため、とても分かりやすかったのを覚えています。

身近な話からのアプローチは理解しやすそうですね。

ダイエットの話も興味深かったです。ダイエットには有酸素運動が大事なことは知られていますが、実は有酸素運動だけでは痩せることが難しいそうです。正しく痩せるためには、筋肉トレーニングなどで筋肉をつける必要があります。なぜなら必要な筋肉がなければ代謝力があがらず結果的に脂肪がとれないからです。また、食事もしっかりとり必要な栄養は摂取しないといけません。正しく食事をとることが不可欠なのです。

必要な栄養をとり、筋肉もつけた上で有酸素運動を行うということですね。

はい。痩せるためには、安易に食事を減らすことを想像してしまいますが、食事制限は精神的にも良くないですし、場合によっては過度なストレスで心が病んでしまい、過食症になってしまうこともあります。適切な栄養の摂取と筋肉トレーニング、有酸素運動、そのバランスが大事なのだと理解することができました。

他にも印象に残ったことはありますか?

近年、良く目にする特定保健用食品(トクホ)と指定されている食品が、どのように、また、なぜ身体に良いのかが分かるようになりました。飲むだけで効果が期待できるものや、飲んだ後に運動をしなくては効果が期待できないものなど、特徴もそれぞれあります。このように身近にあることが理解できていく過程が楽しいのです。

TVCMなどでもトクホという言葉は見かけますね。

そうなんです。ただ、耳にはしていても本当の意味は分かっていなかったりします。 これらのことは、身体に必要な栄養素、運動などの知識はもちろん、代謝のことなどの学習をしてこそ真の理解が得られるものだと思います。


希望に応じた3つのコース

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コースは2年生で選択したのですか?

はい。そうです。自分の目的に応じて、スポーツトレーナーや健康運動指導士、保健体育教員や養護教諭、言語聴覚士など、3つの専門分野ごとのコースに分かれます。

それぞれのコースについて詳しく教えてください。

僕が進んでいるのはスポーツ科学コースです。その他に健康開発科学コース、言語聴覚科学コースと、3つのコースがあります。

スポーツ科学コースは、医学的な知識をベースに、健康管理や健康増進における運動の役割を学び、生活習慣病だけではなく、高齢者や障害者などの運動療法も研究し、幅広い対象に運動指導ができる健康運動指導士、また、保健体育教員、スポーツトレーナーの養成を目的としたコースです。知識や理論を学ぶ専門理論科目群の授業と、指導の実技や演習を行う専門実技・コーチング科目群から成っています。

健康開発科学コースは、基礎的な医学、環境など、健康を考える上での基本的なテーマに取り組み、養護教諭をはじめ、健康問題や環境問題への対策を提言できる人材を育成することを目的としたコースです。

言語聴覚科学コースは、その名の通り、言語聴覚士資格の取得を目標としたコースで、高度な知識と専門的な技術、豊かな人間性を養うことを目的に、社会のニーズに応えることのできる言語聴覚士を養成することを目的とし、愛知学院の歯学部附属病院を使っての実習、現役の言語聴覚士による指導など、総合大学である愛知学院の特長を活かした充実したサポート体制があります。

なるほど。

どのコースも根底にあることは医学的な見地に基づいて健康について科学的にアプローチしていくということです。先のダイエットの例で言えば、栄養と運動のこと、そして代謝や痩せるメカニズムなどの理論が分かっていきます。予防・治療の両面から健康をサポートするとありますが、どうサポートするのかということを理論づけていくことで、漠然としたものが具体的に分かりやすくなっていく学びが得られるのです。

専門科目で特に心に残った授業はありましたか?

どれも印象的でしたが、特に「運動栄養学」は期待していた授業で、すぐに実践できる内容でしたので印象深かったです。この授業では、筋肉疲労と栄養の関係など、体づくりやパフォーマンスの向上に必要な栄養学にかかわる知識を習得し、自分自身で食事管理ができるようになりました。具体的にはある栄養素が身体にとってどういう影響を与えるのかということを学びました。

もう少し詳しく教えてください。

はい。例えば、部活の練習後、疲れを残さないようにするために、また身体づくりにおいても、何をどのタイミングで摂取したら良いのかを学び、実践しました。疲労回復にはビタミンCやクエン酸が良く、筋繊維形成にはタンパク質が良いのです。これらを練習後すぐに摂取できるよう、100%のオレンジジュースと牛乳を購入しておき、練習直後に飲むようにしていました。


学科での学びを部活動で実践

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他にも憶えている授業はありますか?

3年生のときに履修した「スポーツ指導方法論」です。この授業は簡単に説明すると、選手の持つ能力を十分に引き出せる指導者になるために、指導能力を養うものです。

具体的に教えてください。

人は何かを習得する時に、3つのタイプに分けられるそうで、そのタイプごとに適切な指導方法があるということを学びました。1つ目は、プロ選手など手本となる動きを目で観察し、その動き方を頭の中で想像して、イメージトレーニングを行うだけで理解できるタイプ。2つ目はその動き方を目で見るだけでなく、口頭でのアドバイスや文章説明など、目で見て、耳で聴いて理解できるタイプ。そして最後は、目で見て、説明を聞いて、実際に身体を動かしてみて理解できるタイプ。この3タイプがあり、その特性に合わせて指導する大切さを教わったのです。

興味深い内容ですね。

さらには、コミュニケーション力を高めるために論理的思考能力やプレゼンテーション能力を高めるなど実践力を身につける授業もありました。健康運動指導実技や体育指導実技など専門実技・コーチング科目群の授業でも、学んだことをその場で学生同士教え合い、実践経験を積みますので、現場で役立つ知識と実践力を身に付けることができています。

それらの学びは陸上部の活動にも活かされていますか?

はい。陸上部には顧問の先生がいないこともあって、練習メニューは全て自分たちでつくりあげています。種目別にチームを分け、そのリーダーであるブロック長が、先輩が築き上げてきた過去のメニューをもとに練習メニューを組んで指示を出しています。3年生だった去年、僕はキャプテンと短距離のブロック長を兼任していましたので、授業で学んだことを部活動にも活かしてみました。

授業で学んだことをどのように活かしたのでしょうか?

スポーツ指導方法論で学んだ3つのタイプを意識して、部員ごとにどのタイプに当てはまるのかを考えながら指導しました。同じ練習メニューを行うにも、やり方を見せるだけで理解してもらえるのか、説明を加える必要があるのか、実際に体感してもらう必要があるのかといったことでタイプを分け指導したのです。その結果、練習の取り組み姿勢に良い動きが見られるようになり、この授業で学んだ指導方法の効果を体感しました。

それは良い経験ができましたね。

さらに実践して分かったことは、同じタイプでも、相手によって伝え方を変えると、より伝わりやすいということです。人には個性があるので3つのタイプに分けられるとしても、個性を尊重することも大切です。そのため、じっくりと一人ひとりと対話をして確認しながら行ったことで、より効果が表れたのだと思います。


キャプテンとして

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キャプテンとしての活動はどうでしたか?

キャプテンは70名になる部員全体をまとめなくてはいけません。強いチームは全員が向かうベクトルが一致しています。そのために明確な目標を定めるためのミーティングを繰返し実施しました。そのミーティングで様々なことを決定していきましたが、例えば、大会での選手の選抜方法を変えたりもしました。従来は話し合いで選手を選んでいたのですが、出場枠が限られる大きな大会では、その前に選考レースを行ない、純粋にその順位によって選抜するようにしたのです。

なるほど。わかりやすいですね。

はい。基準が明確だと、誰もが納得できますし、選考会自体が明確な目標にもなります。また、本番は選考会でタイムが良かったという過去の実績だけではなく、大会当日までの調整力も求められますので、選考会後も一人ひとりが貪欲に自身を高めようとする良い流れが生まれました。さらには、一人が良い動きをしていると、周囲も良い影響を受けます。部員同士が互いに刺激しあい、切磋琢磨されることで個人のレベルが上がっていき、部全体のレベルも向上しました。

それは良い流れです。

これは社会に出ても同じことが言えるのではないかと思うのです。ミーティングとは、本来、何か問題が発生してから、それを解決するために行うのではなく、常に組織をより良い方向へと成長させていくために都度行うべきものなのだと感じました。部活動を通じて、それを経験できたのは、とても有意義でした。

本当に良い経験をしましたね。

キャプテンに決まったときには、「まさか自分がキャプテンとは」と思いましたが、すぐに責任を持ってやり遂げようと気持ちを引き締めました。今は後任のキャプテンに自分が培ってきたことを教えています。少しでも後輩たちの参考になればと思いますし、後任を育てるということも大切な役目であり、とても貴重な経験であると感じています。みんなの存在があって今の僕があるのだと思います。みんなに感謝です。


将来のこと

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卒業論文は進んでいますか?

はい。いま、運動生理学の分野を研究していて、例えばフライングディスクを投げるとき、どこの組織が関わっているのかなど、運動のある動きに対して生理学的側面から研究していこうと思っています。

特にどんなことをテーマにして進めていくのですか?

僕は股関節の可動域と走る速さとの関係をテーマにしています。短距離走を長年続けてきた中、股関節が広ければ広いほど早く走れるのではないかという自分なりの仮説があるのですが、これについての先行研究はなく、大学生活の集大成としてまとめたいと考えています。

将来の目標について教えてください。

消防士になりたいと考えています。愛知学院大学は、卒業生に公務員も多く、あらゆる所で活躍しています。また、エクステンションセンターと就職課が連携して採用試験対策を行ってくれますので、非常に助かっています。

消防士になりたいと思ったきっかけを教えてください。

幼い頃、父が消防団員で、消防署から出動の無線連絡を受けると、真夜中でも現場に向かっていました。その姿に憧れたのです。教員を目指したこともありましたが、自分の将来を考えた時に真っ先に浮かんだのは、父の姿でした。仲間と共に消防、救命活動を行う。この学科の学びと部活動での経験を活かし、社会に貢献したいと思います。

最後に高校生や受験生にメッセージをお願いします。

大学選択は人生の大きな選択の一つだと思います。僕はスポーツに関わることという明確な目標がありましたが、他の学部、大学との進路選択にはとても迷いました。いろいろな選択肢の中、自分には何が一番いいのか。それを導き出すのはとても大変です。けれど、悩むことができる時期に、いろいろな人の話を聞いて、最終的に自分で選択してほしいと思います。今振り返って思うことは、悩みに悩んで導き出した結果だからこそ、僕はここ愛知学院大学で期待以上の学びを得られ、本当に良かったと感じています。


取材を終えて

「健康と運動、両方を学ぶにはこの学科しかなかった」。この杉山君の言葉が心身科学部健康科学科をうまく表現していると思います。心身の健康を保持・増進する上で重要なのが、「栄養」「運動」「休養」の3つの要素。この3つの要素をすべてカバーするのがこの心身科学部で、この学部は全国でも唯一、愛知学院大学だけに存在する学部です。中でも健康科学科は医学的な見地から予防と治療の両面から健康のあり方を探求する所であり、まさに杉山君が求めた「健康」と「運動」の双方を学べる環境です。
またその学びは単なる知識にとどまらず、部活動などの実践においてさらに学びを深めることができ、杉山君も陸上部で成果をあげています。さらにはコミュニケーション力やプレゼンテーション能力を高め、意思の伝達を円滑にしています。知識と実践、その繰返しからくる成長の実感。その充実感が生き生きとしたリアルな言葉と笑顔で伝わってきました。卒論、その後の公務員試験をこの学科で学んだことを活かしてクリアしていって欲しいです。杉山君なら大丈夫です。ありがとうございました。

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