愛知学院大学法学部法律学科を選んだ理由。

伊藤 正裕(いとう まさひろ)さん 法学部 法律学科 4年生

就職が決まったと聞きました。

第1志望の銀行から内定をいただきました。

おめでとうございます!

志望していた金融業へ決まったのでとてもうれしいです。法律学科での学びが役立ったと思います。入社してからもその学びは活かされると感じているので、とても楽しみです。

どのような場面で学んだことが活かされると思いますか?

法律は社会のルールですから、局地的な場面だけではなく、仕事全般においても活かされると思います。それは単に覚えた知識が役に立つということではなく、法律学科で学んだ過程そのものが活かされると感じています。

学びの過程が活かされるとは?もう少し詳しく説明してください。

法律学科での学びでは、「分からないことに直面した時、どのように思考し結論を導けば良いのか?」その方法を身につけることができたと思います。法律を解釈するには、単に条文を覚えるだけではなく、その背景にあることを同時に理解する必要があります。

なるほど。

つまり分からないことに直面した時、「構成している要素は何か」「何を理解すれば、それが分かるのか」「そのためには何を調べたら良いのか」など、論理的に思考をできるようになったことが、法律学科の学びで身についたことであり、仕事にも生活においても最も活かされることだと思います。

そもそも法律学科を選択した理由を教えてください、

高校生の時、「大学でしか学ぶことができないことを学びたい」「将来において役に立つことを学びたい」と考えていました。僕にとって、それが法律だったのです。

愛知学院を選んだ理由を教えてください。

まず高校時代、将来の職業のことを考えた時、「警察官」という職業が思い浮かびました。 身近な知り合いに警察官がいたのも影響があったと思います。愛知学院大学の法学部は警察へ就職したOBも多く、その点に魅力を感じました。また法学部は半世紀以上の歴史があり、その歴史の蓄積から法律のことをしっかり学べる安心感に加え、公務員の就職実績も十分でしたので大学選択に迷いはなかったです。

なるほど。

あと、教養部の存在もありました。法学部に行くことは決めていましたが、興味があった経営学や商学も学びたい。法律にはそれらの学問も関連してくると思いましたから。その点、愛知学院大学の教養部には、700科目が開講されており、選択した学部以外のことも専門的に学ぶことができるので魅力的に感じました。


基礎を十分に学び、自ら応用、発展させられる素地を身につける。

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改めて法律学科のことを詳しく教えてください。

法律学科では法律の基礎知識を習得することから学びを開始し、その上で具体的な理念や条文の内容など法律に関する学習を体系的に積み上げていきます。さらに社会のルールである法律の知識を持って、社会で起こるさまざまな問題を論理的に解決できる能力を養っていく学科です。

1年次ではどのようなことを学びましたか?

憲法・民法・刑法などの基本科目の基礎知識を習得していきます。基礎が何よりも重要となるため、1年次では法を学んでいく土台作りがメインとなります。しかし、知識を詰め込むだけでは、発展していく専門分野に対応できなくなります。そのため法学部では1年次からゼミが設けられ、基礎から応用へ自ら発展させていける能力を習得することも重点的に行っていきました。

法を学んでいくためにどうしたらいいのか?それを体験するのですね。

はい。何事も基礎があっての応用です。法律学科の学びは膨大な専門知識を詰め込むだけではなく、自ら分からないことに対してどのように調べて理解を進めていくのかという学習の素地を身につけることから始まります。基礎をしっかりと学んだ上で、その素地があれば、自ら学び進めていくことができるのだと感じました。

そのゼミについて教えてください。

法学部のゼミは他学部のゼミとは少し異なります。専攻した分野を一貫して研究していくのではなく、目的や2年次に選択するコースにあわせて、1、2年次では半期ごと、3、4年次では年次の変更時に履修する分野を変えることができます。いずれも各20名ほどの少人数編成なので先生との距離が近く、きめ細かい指導の下、研究発表や討論など、実践的な演習を行います。

どのようなことを学びましたか?

1年次は、民法、とくに所有法、団体法、契約法の交錯といった分野で専門のゼミを履修し、判例研究を行いました。自然債務、自然債権のことなど、契約に関わることも学びました。また、ゼミ以外の授業では、刑法、憲法についても学びを得ました。


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授業の中で特に印象に残っていることはありますか?

猿払事件です。その事件の概要は昭和42年、郵便局に勤務する郵便事務官(国家公務員)が同地区の労働組合協議会事務局長をしており、日本社会党を支持する目的を持って、公認候補者の選挙用ポスターを勤務時間外に公営掲示場に掲示したり、そのポスターを他者に依頼して配布したりしたというものです。そのことが、国家公務員法(※1)、人事院規則(※2)に反するとされ、起訴されたのです。一審では無罪となりましたが、上告後、最高裁で有罪となった事件です。

この判例で争点となったことは、被告が国家公務員といっても非管理職であって、さらに勤務時間外での行為だったこと。また、職務、公的施設を利用したということでもなく、あくまで労働組合活動の一環としての行為であったとみなされたにも関わらず、刑事処罰をすることは憲法の定める集会・結社・表現の自由および法定手続きの保障に違反しているのではないかということです。

(※1)国家公務員法:一般職の国家公務員の職階・任免・服務・給与などに関する基本法。これにより団体権、団体交渉権、争議行為のいずれも制限、禁止されている。

(※2)人事院規則:人事院(国家公務員の人事・給与を勧告する機関)が定めた職員の任免・身分保証・懲戒、営利企業への就職や政治的行為などについて詳細に定められた規則。

なるほど。一審と最高裁では判決が覆ったのですね。

法律で定められていることに対して、1つの視点だけで見れば覆ることのないことでも、その他の要素や法律が絡み、多面的に考えると、解釈は違ってくることが分かりました。法に関わる専門家の中でも解釈はそれぞれです。その中で僕たちが結論を導き出すには、事件に関わる法律を全て調べることはもちろんのこと、判決が導きだされた過程を振り返り、なぜこのような解釈になるのかなど深く考え抜くことが大事なのだと理解できました。

1年次からかなり専門的ですね。難しくはなかったですか?

法律学は高校までに基本的には学んできていないことですので、確かに初めは分からないことばかりでした。けれど、条件はみんな同じです。誰もが法律を深く学ぶのは初めてですし、気後れすることはなかったです。また入学前から少しでも法律学に触れられるようにと配慮され、学部から郵送された冊子は興味深いものでした。それにはいくつかの判例が記載されており、先の猿払事件も事前に知ることができました。その予習をした上、さらにゼミで扱い、自ら調べていったことで理解が進んでいきました。

段階を経て深まっていく感じがよくわかります。

入学前の冊子は、 法律を学ぶ上での入門書であり、 高校から大学への良い橋渡しになったと思います。 入学してからもすんなり大学の授業に入れたのは、 まさにあの冊子のおかげで、 同時に大学での専門的な学びへの期待感も高まりました。 学びの深まりが早く感じ取れたのも、 スタートがスムーズに切れたからだと感じています。


基礎から応用へ。発展できる法律学科の学び。

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コースは2年次から選択するのですか?

はい。「総合コース」、「公法コース」、「ビジネスコース」の3つのコースから1つを選択し、目標とする将来像にあわせて専門的に学んでいきます。

詳しく教えてください。

「総合コース」は、法律学全般にわたって、より発展した内容を学び、弁護士や検察官、司法書士や行政書士など、法律を専門的に扱う職業を希望する人に適したコースです。

「公法コース」は、行政法や経済法、国際法といった国と国民、地方公共団体と住民などに関わる法律、さらには行政学や財政学など、行政関係に進むために必要な知識が得られ、公務員志望者や国や地方自治体への就職希望者に適したコースです。

「ビジネスコース」は、会社法や商取引法、知的財産法など、日々変化するダイナミックなビジネス・経済社会で必要とされる法律知識を身につけていきます。民間企業での幅広い活躍を志望する人に適したコースです。

伊藤さんはどのコースを選択したのですか?

当時は警察官になりたいと考えていましたので、公法コースを選択しました。ただ、法律学科では他のコースの授業も分け隔てなく履修できるので、専門科目はほとんど履修しました。

カリキュラムも選択の幅が広いのですね。

そうですね。目標にあわせて選択しやすいようになっているのと同時に、学んでいく過程で興味を持った領域も学ぶことができます。また、学年が上がるに連れ、例えば民法では相続に関することなど、より専門的な分野へと発展していきます。法律学科の学びは幅広く奥深いと感じます。


法律を活かす道。金融業界を志望。

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就職について再考したのはいつ頃からですか?

3年次です。「キャリアデザインと法学」を受講したのがきっかけです。これは「自分の進路をどのようにして発見したら良いのか」ということを考える授業です。これまでに自分たちが学んできたことを具体的に社会に活かす道について、法学が社会でどのように役に立っているのか、体験談を交えながら聞くことができる良い機会でした。その後、具体的な仕事内容について書かれた本を読み、金融業界に興味を持ちました。また、ちょうどその時期に金融に関わる授業を履修していたことも影響しています。

それはどのような授業だったのでしょうか?

「誤振込について」の授業です。誤振込とは、全く関係のないところに誤って振り込んでしまうことです。その場合、振り込んでしまったお金はどうなるのかという内容でした。これについては様々な判例がありますが、原則として誤振込でも振込み側に預金の権利(預金債権)が成立しています。この際、誤振込先に了承をとり、正しい振込先に組換えを行います。

その誤振込と法律はどのように関わってくるのでしょう?

例えば、誤振込先がそのお金を引き出して使ってしまった場合、それは詐欺罪に相当します。誤振込先はこの振込について全く心当たりがないわけですから、銀行にその旨、届け出る告知義務が信義則上あるのです。

なるほど・・・

これらの学びから金融と生活は切り離せないことだということを再認識しましたし、金融業界にも法律の知識は必要だと思い、この業界への興味が強くなっていきました。また婚姻や相続など親族間に関わる契約について学習するに連れ、さらに興味が増し、法と生活とお金の関わりに関心を寄せています。


印象に残った授業と部活動

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様々な専門的な学びができていますね。

ゼミで行った模擬裁判形式の討論も印象深いです。法律を学び、その知識を持って判例を研究するだけではなく、このゼミでは、裁判官、原告、被告、書記と班を分け、今週は裁判官役、次は原告役とローテーションを組むなどして、討論を行いました。

どのように討論したのでしょうか?

実際の判例を扱って討論を行いました。原告役、被告役が、判例をもとに相手に納得させられるような主張をしっかりと述べられるのかということが課題となります。裁判官役は原告役、被告役の主張を俯瞰的に見る調整役を担い、書記役は討論の様子をまとめながら分かりづらい点を指摘して調べさせる役を担いました。

とても興味深いです。

事実に基づいて主張を述べるだけではなく、 自分たちの意見も交えながら討論しました。 判例をそれぞれの立場で、 事細かに調べ直すことで、 新たな主張の可能性も見出せます。 また、 理路整然と主張し、 相手を納得させることも学ぶことができました。

また立場が違うことで見えてくることの違いも理解できました。例えば原告、被告は自分たちがそれぞれの立場で正しいと思うことを主張するために狭義的になる傾向があるのに対し、裁判官役は、原告、被告、双方が主張を述べ合う様子を俯瞰的に見ていますので、当事者同士の争いの中では見えない主張の弱さ、根拠の無さなどがはっきり見えてきます。また、立場による視点の違いだけでなく、相手の気持ちも理解できるようになりました。これは普段のコミュニケーションにもつながることだと感じました。その学びは部活動にも活かされています。

詳しく教えてください。

僕はアメリカンフットボール部に所属しています。アメフトは攻守をきっちりと分けて、セットプレーを連続させていくスポーツですので、オフェンス専門のポジションとディフェンス専門のポジションがあり、それぞれが明確な役割を持っています。そのため、1つのポジション、1人の動きがかみ合わないと、全体のバランスが少しずつ乱れてしまい、チームの中の自分の役割、存在がとても重要になってくるのです。


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そこで円滑なコミュニケーションが重要となるわけですね?

そうです。もちろん競技中もそうなのですが、ミーティング中も同様なことが言えます。ミーティングでは練習の様子をビデオに撮影し、ビデオをもとに定期的にチームの連携を確認、調整しますが、明確な役割を担っている分、各自、自分の意見を主張します。ただ、「なぜそうすべきなのか」という主張の背景がないと説得力がなく、相手に納得、理解してもらえません。

確かにそうですね。

ゼミの討論とは異なる点もありますが、「相手を納得させるために根拠ある主張をすること」、また「俯瞰的に物事を見て調整していくこと」。これらのことは法律学科での学びと共通する点が多いのです。このように説得力のあるコミュニケーション能力を養えたことはとても有意義です。

良かったですね。

はい。社会に出てからは、年齢、職業、生活環境など、今まで以上に様々な人と会うことになります。主張を述べるばかりではありませんが、自分の考えを理解してもらうためには、考え方、生き方など、その人それぞれの背景を理解することが大切だと感じています。いろいろな人とコミュニケーションを図る上で法律学科の学びがとても役立つだろうと期待しています。

最後に高校生にメッセージをお願いします。

本当にやりたいと思うことを見つけてください。4年間という貴重な時間を有意義に過ごすには、「将来、何をやりたいのか」「そのために何を学ぶべきなのか」ということをしっかりと考えることが重要だと思います。僕は法律が社会では役立つのではないか、その法律に関わる仕事はどういったことがあるだろうかという視点から法律学科を選択しました。入学当初と志望する職業は変わりましたが、法律を扱う仕事をしたいということはぶれなかったため、全ての学びが未来につながっていることを感じています。何かを決める過程で迷うことはあります。そういった時は実際に体験した人の話を聞くと、見えてくるものがあると思います。多くの人とかかわって良い選択をしてください。


取材を終えて

法を学ぶということは、多岐にわたる膨大な専門知識を詰め込むという印象がありました。しかし、伊藤さんの話を聞いて、そうではないことが分かりました。法を学ぶ醍醐味は、多くの判例に触れ、なぜそのような判決がくだされたのか?その時の社会背景は?被告は何を考えていたのか?など、それらを考える過程にあるのです。その論理的な思考は説得力をもったコミュニケーション能力を身につけていくことにもつながります。それは法を扱う環境だけではなく、人との関わり合いの中においても、とても有用な能力です。愛知学院大学法学部は、法を学ぶことはもちろんのこと、その説得力を持ったコミュニケーション能力を養うことができるのだと感じました。取材時、こちらが何を聞こうと意図しているのか、それを汲み取り、非常に分かりやすく話をしてくれました。来春、すばらしい銀行員となっている伊藤さんの姿が浮かびます。部活動の合間の忙しい時、暑い中の撮影、取材、ありがとうございました。

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