自立するために愛知学院大学へ

西側 由里奈(にしら ゆりな)さん 心身学部 心理学科 4年生

心理学科を選んだ理由を教えてください。

高校生の時に友人から、よく相談を受けていました。その際、自分なりに助言をしていたのですが、それが「正解なのか」「本当に役に立てているのだろうか」と疑問でした。これらのことがきっかけとなり「人の気持ちをもっと知ることができないか」と考え、心理学科を選択しました。

どんな相談が多かったですか?

高校生ですから、年相応の話ですよね。友人や恋愛、部活など、人に関わる話が多かったです。

頼れる存在だったのですね。

単に、話しやすかったのだと思います。私から相談することもありましたし、互いに相談し合う感じでした。

兵庫県出身と聞きましたが、愛知学院大学を選んだ理由を教えてください。

愛知学院大学は伝統もあり卒業生も多く、大きな大学です。多くの人と交流ができるとも感じていました。また心理学科としての歴史もあり、深く、充実した学びが得られると思いました。さらに、興味があった言語聴覚士の資格取得をする環境が整っていましたので選択しました。

大きな大学という意味では関西にもあると思いますが・・・

大学進学は、親元を離れ、自立の一歩という思いもありました。とはいえ、あまり遠すぎるのも親も心配するだろうと。愛知県には親戚もいたり、愛知万博で足を運んだりと多少の土地勘がありましたし、遠すぎず、近すぎず、総合的に考えてこの大学を選びました。


新たに芽生えた教職への道

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心理学を学ぶにあたってイメージした将来はありますか?

人のために役立つ仕事に就きたいと思いました。例えば福祉関係や介護福祉士などです。高校生だからよく理解できていなかったですが、高齢化社会だからそういう職業に就けば役に立てるのかなと漠然と感じていました。

1年次はどんな学習をしていくのですか?

専門基礎科目の心理学入門を中心に基礎から分かりやすく学ぶことができました。当たり前の話ですが、心理学を本格的に学ぶのは大学に入ってからなんですよね。ですので、どんなことを学ぶのだろうと多少の不安はありましたが、スムーズに学ぶことができた印象が残っています。

心理学を学び始めた際に、意外に感じたことはありませんでしたか?

心理学というと心の問題などメンタルなことを中心に学ぶという印象がありましたが、意外にも数値やデータが多く感じられました。愛知学院大学の心理学科には5つの領域がありますが、その1つである計量心理学は心理学的調査、検査結果等の統計的分析方法について学びます。もちろん1年次は基礎なので難しくないのですが、心理学に数値というのは意外でした。

1年次の学びで印象に残っていることはありますか?

私は心理学を学びながら、言語聴覚士の資格を取得するコースを選択していましたので、その授業が印象的でした。その学びが進むにつれ、言葉が円滑に話せない吃音(きつおん)症のことなどを知りたいと思い、それに関わる教育現場を見てみたいと考えるようになったのです。

そのために具体的な行動をとりましたか?

はい。1年次の後半より教職課程を選択しました。心理学科の取得できる資格として、特別支援学校教諭1種免許状があります。特別支援学校とは生徒の障害の重複化に対応し、盲学校、聾(ろう)学校、養護学校などの種別を超えて適切な教育を行う学校です。その資格取得をめざし、教育現場へ出向き、子供に関わりたいと思いました。

学年の途中からでも教職課程を選択できるのですね。

はい。確か1年次の秋か2年次から私はスタートしたかと思います。教職課程を選択してからは毎日5限目まで受講しないといけませんでしたが、興味を持ったことをすぐに行動に活かせるカリキュラムは素晴らしいと思いました。


体験から生まれる新たな気づき

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2年次以降はどんな学習を受けてきたのですか?

1年次の基礎学習をうけて、2年次からは専門分野への本格的なアプローチになっていきます。幅広い分野の中から興味のある講義科目を履修し、関心のある分野の知識を深めていきます。一般実験演習では心理学の認知・行動、発達・教育、人格・臨床、社会・産業のそれぞれの領域について実験演習を行います。

印象に残っていることはありますか?

アイマスク体験です。2人ペアになり、1人が目をつぶって1人が介助し、校庭を歩いたり、草の上に寝てみたりしました。様々なことを感じとれたので特に印象に残っています。感じ取れたことが心理学にもまた特別支援学校のことにもつながる話だったのでインパクトが強かったのを覚えています。

その体験ではどんなことを感じましたか?

まず、音に敏感になります。普段は気にならない音が耳に入ってくる感じがしました。また寝てみた時は「草ってこんなにもフサフサしているんだ」と感じ取ることができました。

なるほど。

目をつぶって行動する体験で感じ取ったことは、普段の生活では感じ取れないものばかりでした。つまり、普段、私たちは目で見ることができ、耳で聴くことができるから逆に感じとれていないことが多いのです。目で見ることその1つが欠けるだけでも感じ方は全く違うものだと自ら体験できました。

『星の王子さま』には「大切なことは、目に見えない」という一節がありますね。

まさに、そういった心境ですね。目が見えるから、感じとれていないことがたくさんあります。それをこの実験で再認識できました。また、目が見えない、耳が聞こえない、それは単に障害があるということだけではなく、感じ取れること、つまり心境も違ってくるのだと改めて理解できました。また、介助する人もそのことを理解した上で寄り添うことが大事だとも思いました。

実りある体験でしたね。

はい。決して難しくない、シンプルな体験でしたが、学んだことは深いものでした。


カウンセリングを学ぶ

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ゼミは3年次からスタートするのですか?

はい、そうです。私は臨床心理学のゼミを選択しました。ゼミを担当する教授が不登校児や犯罪心理学を専門とし、病気の知識も豊富なこともあり興味を持ちました。このゼミの内容は本来、大学院でしか受けることができない授業だと聞いていたのも選択した1つの理由です。

主にどんなことを研究しているのですか?

ゼミ生それぞれで関心を持つ所は違うのですが、私はカウンセリングのことを深く学んでいます。

ここで心理学科を選択した理由の話につながりますね。

そうなんです。その話にもつながってくるのですが、悩んでいる人に対して積極的に支援ができるようカウンセリング技術を身につけ、実践したいと思いました。

具体的にはどんな流れでカウンセリング技術を身につけていっているのですか?

最初、ゼミの教授に「カウンセリングを深く学びたい」と相談した所、「自分で一度カウンセリングを受けてみたら」とアドバイスをもらいました。そこで、大学院で臨床心理士の資格取得をめざしている方を紹介してもらい、現在その方にカウンセラーとなってもらいカウンセリングを受けています。

まずは自分がカウンセリングを受けるとは意外でした。

これがとても良い方法なのです。まず自分が体験することで、カウンセリングを受ける方の気持ちを理解することができます。さらに私自身の悩みに対し、カウンセリングを受けることができるわけですから、その技術も学ぶことができます。

カウンセリングを受ける側、施す側、双方の気持ちがわかるということですね。

誰かの相談にのる時、相手の気持ちを理解していれば、話しやすさも違ってくるのだと改めて感じています。カウンセリングは対話ですから、話の聴き方は重要です。そのことが感じとれていることがとても勉強になっています。

このカウンセリングを受けることで新たな気づきが生まれていますね。

はい。そのとおりです。先の話にも関連してきますが、このカウンセリングを受けるまでは、相談相手に対して「答えを出してあげないといけない」という気持ちでいっぱいだったのです。それが決してそうではないのだということに気がつきました。


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興味深い話です。もう少し掘り下げて話を聞かせてください。

今までは「カウンセリング=アドバイスすること」と思っていました。でもそうではなく、「話を親身になって聴く」ことがまず大事だということです。そしてその話に「共感すること」で必ずしもその場でアドバイスできなくても、理解することはできるのです。例えば、「大変だったねえ」という言葉一つでも相手の心の重荷が少し楽になることも往々にしてあるということです。

「深く聴き入り、共感する」。大事ですね。

これもカウンセリングを受けていて、わかってきたことですが「悩んでいることの答えは自分が持っていること」が多いのです。つまり、相談をしているうちに自分の中で答えが見つかってくるのです。

確かにそういう経験があります。

この前も、話を聞いてもらっているうちに安心してきて、心が和み、自分で答えを出していました。もちろんこのカウンセリングを実践するまでも、このようなことは学習していたのですが、実際、経験してみると納得感が違います。まさに「これだ!」って思えた瞬間でした。

こう考えていくとカウンセラーは「話を親身になって聴く」重要性が理解できます。

話の聴き方はもちろんのこと、相手の話を引き出してあげる、導き出してあげるよう対話していくことが大事だと感じています。例えば「こういうことで悩んでいるんです」と相手が言った場合、「こういうことで悩んでいるんだね」と繰り返してあげることだけでも、その後の展開が違ってくるのではないでしょうか。

カウンセリングはどれくらいの期間、受けているのですか?

約1ヶ月です。毎週木曜日に1回、1時間ほど受けています。自分を題材にして、このカウンセリングを通じて自分がどう変わっていくのか、客観的に見ていく。その変化が自分のことながら非常に楽しみです。

卒業論文はどんなテーマで書きますか?

まさしく、今まで話をした内容で卒論を書きます。卒論は自分の役に立つことをテーマにすると決めていたので、まとめていきたいと思います。


教育実習で生まれた新たな気持ち

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教職課程の話に戻りますが、教育実習はもう終わりましたか?

私の場合、教育実習は2回、行く必要があります。社会・公民の教育実習は終了しました。特別支援学校の教育実習はこれからです。

資格によって教育実習は別々なのですね?

そうです。先の教育実習でも学びが多かったですが、特に特別支援学校の教育実習は楽しみにしています。そもそも教職課程を途中から選んだのも障害を持っている方のことをもっと知りたい、その教育現場へ行きたいという思いから始まったことですから。実際に現場を知ることで感じることも違ってくると思います。

先の教育実習で感じたことはありますか?

そこで出会った先生から多大な影響を受けました。その先生は一度、社会に出て就職してから教職に携わった方で、視野も考え方も広く深いように思えました。

その先生と触れ合って変化がありましたか?

私はずっと教諭になることを目指してきました。そのために教職課程をとったのですから。でもその先生と話をしているうちに、もっと様々なことを試したり、経験したりした方が良いのではないかと思うようになったのです。そう考えると教諭になるだけではなく、一般企業への就職も視野に入れた方が良いのではないかと考えるようになりました。

それはまた劇的な変化ですね。

例えば、 販売接客業など人と接する職業は、 心理学とも通じる所があります。 お客様を観察し会話を交わすことで要望を察知し提供する。 お客様が言葉にできない心を汲み取りサービスを提供できるのであれば、 とても喜んでいただけると思うのです。

確かにそのとおりです。

私は愛知学院大学での学びの過程で、経験することの大切さを知りました。頭で想像していることと実際、体験することは違うのです。体験することでまた新たな気づきがある。可能性を閉じることなく様々なことを経験しさらに成長していきたいと考えています。

試行錯誤は大事です。

例えそれが遠回りだとしても、まだまだ若いのでいくらでも修正が効くと思います。でも、きっと正解はないんですよね。仮に間違った選択だとしても気づくこと、新たに得ることができることは多くありますから。様々なことにチャレンジして行くことが大事だと思います。


充実したキャンパスライフ

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大学生活の今までを振り返ってどうだったでしょうか?

非常に有意義な学生生活です。学んだことから新たな興味関心がわき、またそれを体験することで新たなことを知る。今までとは違った自分が見えてくる。成長する。充実したキャンパスライフとはこういうことを言うのだと思います。

自立もできてきていますね。

振り返れば最初は不安でしたね。話す相手もいない。だから高校時代の友達に電話したり、実家へ連絡したりと寂しく感じたのも事実です。ただしばらくすると大学内に友達ができ、また輪が広がり、様々な考え方、価値観を持った仲間と出会えました。入学前から、愛知学院大学には多くの学生がいて交流でき、その交流を通じて自分を成長、自立させることができると思ったわけですが、まさにそういった場だったと言えます。この大学で出会えた全ての方に感謝です。

卒業するまでにやりたいことはありますか?

海外も行きたいです。異文化の人とも触れ合って交流を深めたいです。国が違っても、人って自分を理解して欲しいと思っているし、褒められたら嬉しいし、それは万国共通だと思うんです。心理学を学んでそれが理解できたし、学んだ意義があったと思うのです。海外に出かけていろんな人との関わりをもって、景色を見て、様々なことを感じて、自分の感性を高められたら、さらに成長できると思います。

最後に高校生、受験生にひと言、お願いします。

「悲しいから泣くのではない。泣くから悲しいのだ」(※)という言葉があります。教授が教えてくれた心理学史上の名言と呼ばれているものですが、私はこの言葉を聞いたときに、「気持ちの前に行動がある」と理解しました。自分が迷ったり、興味を持ったりしたことはまず、行動を起こすことが大事。この言葉はそのことを物語っていると思うのです。まずは何事にもチャレンジしていきましょう。道は必ず開かれると思います。

(※)ウィリアム・ジェームズとカール・ランゲの言葉。「生理学的反応のほうが心理的な情動体験よりも先に起こる」ことを意味している。


取材を終えて

友達からの相談が多かったという西側さん。その時に感じた「相手の役に立てているのか?」という素朴な疑問から心理学に興味を持ったのは自然な流れでした。また、自立をするための地元を離れ、多くの人と関わりたい、また心理学を選択して言語聴覚士の資格も取得したいと、それらの条件が揃っている愛知学院大学を選択したのも必然的な流れだったと思います。愛知学院大学で学ぶに連れ、特別支援学校の教諭という新しい目標が生まれ、その学びの中でまた新しい気づきがうまれる。カウンセリングでの体験でも新しい発見があり、教育実習でも新たな気持ちに出合う。西側さんの夢はこの大学の学びで拡がり、その変化を本人が楽しんでいるように見えました。また「学ぶことで、さらに興味がわき、また新しい自分に進化する」ための教育カリキュラムがここ愛知学院大学にはあるのだと再認識できました。引き続き、新しい自分を大切に。再会した時に、どのように成長しているか楽しみです。ありがとうございました。

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