苦手意識があった英語。

宮地 香奈子(みやじ かなこ)さん文学部 グローバル英語学科4年生

英語に興味をもったきっかけを教えてください。

高校生の時、"The Giving Tree"(邦題 おおきな木)など、多読用の教材に触れたのがきっかけです。それは易しい英語で書かれていて、ストーリー性があり、簡単に読めるものでした。

もともと、英語は得意だったのですか?

いいえ、苦手でした。中学英語までは問題なかったのですが、高校に入ってからは単語や文法も難しく、成績もあまり良くありませんでした。

苦手なのにグローバル英語学科を選択したと・・・

高校までは受験英語が中心で、暗記も多いですよね。それが苦手意識をつくっていたと思います。ただ、英語で書かれた物語を読むのは好きでした。受験英語は苦手。だけど英語そのものは好きということになるでしょうか。

「苦手だけど好き」というのは不思議な感覚ですね。

大学進学の際、先生に相談した時も、驚いていました。英語の成績も良くない、得意でもないのに英語学科を選ぶ理由がわからなかったのだと思います。

他の選択肢は考えなかったのですか?

パソコンを使うことが好きでしたので、情報系の学部も選択肢の1つとしては考えてみました。

それでも意思は変わらなかった。

大学では、好きな英語を満足ゆくまで学びたいと思いました。あと英語中心の生活になれば、苦手意識も克服できるかなと。本格的に英語を習得して、コミュニケーション能力を高めたい。それが実現できる環境を求めて、愛知学院大学のグローバル英語学科を選択しました。


4年間かけて英語力を高めるカリキュラム

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入学して講義の印象はどうでしたか?

想像していたより、基礎的なことをしっかり学ぶことができました。「聴く」「話す」「読む」「書く」バランス良く学習できました。

難しさは感じられなかったですか?

英語の難しさより楽しさが感じられ、苦手意識も全くなかったです。

1年次で印象に残ったことはありますか?

スピーキングです。高校までは、なかなか英語で話す機会に恵まれなかったですから、自分で英語を話して意思を伝える、その楽しさがありました。

「聴く」機会も増えたのでは?

はい。集中的にリスニングに取り組む授業もあり、テーマも身近なものから社会問題まで多岐にわたり、段階を経てリスニング力が高められました。ネイティブの先生の講義も多く、それらを通じて「英語で考える」習慣も身についていきます。

「読む」「書く」の印象は高校までとは違いますか?

リーディングに関しては、とにかく英語の本をたくさん読む「多読」が英語力の向上につながりました。単語などがわからなくても、とにかく読む。読むことで文脈が見えてきて、全体のつがなりがわかるようになりました。ライティングについても、一段と文法能力が高まったと感じています。

高校までの英語の授業とは違うのですね。

もちろんです。受験英語と大きく違うのは、ただ覚えなさいではなく、コミュニケーションをするための語学を習得しているという点です。1日のほとんどが英語という日もありますし、本格的に語学を学んでいるという実感がありました。


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改めてグローバル英語学科について教えてください。

ESP(English for Specific Purposes 目的・職業別英語)を身につけることに重きを置いています。国際的なビジネスに必要とされる英語のスキルを磨く「国際ビジネスモデル」をはじめ、「航空・観光・通訳・翻訳モデル」「英語教員資格モデル」など将来の目標・目的に対応した3つの履修モデルが設定され、各分野で使われる表現や専門用語を習得していきます。

ただ英語で話せるようになることが目的ではないのですね。

英語の使われ方は多様化してきていて、ジャンルにおいての専門用語も増えていますから、単に英語が話せる、使えるだけでは十分ではない、使う目的に応じた英語力を養うのが、グローバル英語学科の特長だと思います。もちろんそのためには、「聴く」「話す」「読む」「書く」の技能を身につけることが大前提です。

どのモデルを履修しているのでしょうか?

私は「航空・観光・通訳モデル」です。このモデルでは語学力はいうまでもなく、異文化の理解、また主体的に日本文化を発信できる能力を身につけることを目的としています。

目的が明確になりましたね。

モデルの選択に伴い、講義もさらに本格的になっていきます。例えば日本語を聴いて、5秒で英訳するなど、実際、通訳を想定した授業があります。こういった訓練の積み重ねは、英語力をさらに高めてくれます。

印象に残っていることはありますか?

2年次は必修プログラムとして実施される「海外語学研修」がありました。必修ですから全員参加、卒業単位としても認定されます。単なる旅行、留学ではなく目的をもった研修で、この体験から、私は大きな影響を受けました。


海外語学研修を通じて異文化を体感

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海外語学研修はどんな内容なのですか?

私たちはオーストラリア・パースへ3週間滞在しました。ホームステイをしながら西オーストラリア大学の英語センターで集中レッスンを受けました。研修中の3週間は毎日、毎時間が英語。英語を使った本物のコミュニケーションを体験することができました。

毎日学校へ行くのですか?

週5日、行きます。もちろん授業は英語オンリー。日本語でのやりとりはありません。1クラスは10数名の少人数でクラス分けのテストもあります。学ぶ側のレベル差がありすぎると、教える先生もどこに照準を合わせて良いかわからないですしね。

授業で日本語は使えるのですか?

いいえ。授業は全て英語です。日本にいるとどこかで「わからなくなったら日本語で」と甘えてしまいますが、海外ではそういうわけにはいけません。日本語が使えない環境は、英語力をさらにアップさせてくれたと思います。

特にどういった点で英語力が身についたと感じましたか?

「聴くことができないと、話すことができない」と意識できた点です。日常の会話でも、どちらかが一方的に話すのではなく、相互が代わる代わる言葉を発していきます。相手の言うことが聴き取れないと会話が成立しません。言葉にすれば当たり前のことが、海外語学研修で初めて実感することができました。

だから「聴く」「話す」なんですね。「聴く」が先。

そうなんですよ。改めてコミュニケーションのスタートは相手の話を聴くこと。それを受けて自分の意思を伝える(話す)ことなのだと感じました。そう考えても、リスニングは大事なんですよね。

ホームステイ先はどんな所でしたか?

イタリア系のおばあさんが住む先でホームステイさせていただきました。

英語は聴き取れましたか?

日本人であることを考慮してもらったのか、ゆっくりと話をしてくれたので、ある程度は聴き取れることができました。ただ、イタリア系の英語を聴いたのは初めてでしたので、最初は戸惑いもありました。

どんな戸惑いがありましたか?

恐らくイタリア系だからだと思いますが、何気ない内容でも語気が強く、怒って言っているように感じられました。もちろん発音も私たちが馴染んでいる英語とは何気に違うので、そのギャップに戸惑いを感じました。


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オーストラリア自体、英語のアクセントが違うんですよね?

はい。みなさんご存知だとは思いますが、エイがアイと発音され、実際、大学の語学センターの先生がその発音でしたが、そもそも話す人や出身によって同じ英語でもこんなにも発音、話し方が違うとは、それだけでも驚きの体験でした。

言葉以外で何か違いを感じたことはありましたか?

違いは至る所にありました。例えば、夜。「夜は危ないから出歩いてはダメよ」と言われました。日本では成人になってからは、言われたことはなかったので意外でした。また、「昨晩も銃声が聞こえたね」など普通に会話していることに驚きました。アメリカのように銃社会ではないですが、移民が多い、多民族国家で様々な人が暮らしている、その認識は持たないといけないと思いました。

他にも違いを感じたことはありますか?

時間の概念でしょうか。比較的、のんびり、穏やかな感じがします。ホームステイ先は おばあさんだからか、20時、21時には就寝していました。それは極端な話かもしれませんが、夜の活動時間が短く感じられました。

食事などは口に合いましたか?

食事は量が凄かったです。「少なくして」とお願いしたほど。味も少し薄く、調味料も日本ほど豊富ではありませんでした。あと、お風呂。私は湯船に入りたいのですが、バスタブがなくシャワーだけ。入浴時間も短く、最初はそれが嫌で日本に早く帰りたいくらいでした。

考えてみると違うものですね。

他にも、普通の公園が日本には比べものにならないくらい広かったです。ひょっとしたら日本人が英語でParkと言ってイメージしているものと、オーストラリア人がイメージするものは全く違うものではないんだろうか?と考えたりもしました。

同じ単語でも意味するイメージが違う。

英語を学ぶ上で、聴く、話す、読む、書くことができる能力は大事です。でも、それだけでは不十分だということがわかります。相手の文化を知り、考え方の違いを認識した上でコミュニケーションをとることが大切なのだと実感しました。

滞在期間中、どこか出かけたりもしましたか?

デパートは良く行きました。店員さんからは良く話しかけられましたね。「何か探しているの?」「この香水はどう?」とか。こんな経験も日本ではなかったことです。英語で、話しかけられるから、英語で答えないといけない、その日常が英語力を向上させてくれたと思います。

海外語学研修で良い学びを得ましたね。

はい。そう感じています。語学力アップはもちろんのこと、異文化を体験することで改めて日本のことも考えられましたし、改めて英語は世界中の国々で話されている言葉であり、その文化の多様さを感じとることで、異文化コミュニケーションというものを体験できたと感じています。


数多くの経験が語学力を向上させる

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帰国後、何か変化はありましたか?

TOEICでは、リスニングの点数が良くなっていました。「聴く」大切さ、その姿勢がこの海外語学研修で身についたからだと思います。

早速、語学研修の結果が出た感じですね。

TOEICも、単なるアメリカ英語だけでなく、イギリス英語、オーストラリア英語など混在してリスニングテストが行われているようです。英語を第二言語として話す人も増えてきていますし、使われ方は多様です。私は厳密にその違いはわかりませんが、どの英語もある程度、聴き取れているということは、海外語学研修の体験が良い影響をもたらせてくれたのだと感じています。

なるほど、英語の多様性ですか。大学の先生内でも違いを感じたりしますか?

ある先生はイギリス英語よりで、アメリカ英語に慣れた私には聴き取りにくいですし、同じアメリカ英語でも柔らかい感じもあれば、早口な先生もいて、先生によっても千差万別です。

多様ですね。

社会に出たら、学生の時では比較できないほど、多くの人と英語で、かかわり合うと思います。海外語学研修でもそれが感じ取れて、大学内でもその環境なので嬉しいですね。

TOEICは定期的に受けるのですか?

はい。TOEICが全てということではありませんが、自分の成長を確かめる意味でも意識しています。みんな毎年、点数は良くなっていますよ。


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スピーチコンテストにも参加されたと聞きました。

国際交流センターが主催する学内のスピーチコンテストに参加しました。約50名の方を前で5分のスピーチをしました。

どんなテーマで話されたのですか?

「挨拶について」です。挨拶はコミュニケーションの潤滑油ということを軸にして話をしました。原稿作成や発音だけでなく、感情の込め方や話し方など先生からアドバイスをもらいスピーチを完成させ、発表しました。

良い経験ですね。

自分の伝えたいことを、伝わるように話すことの大切さを学ぶことができました。1つのテーマについて、自分の考えを人前で話すことは、それ自体が貴重な機会です。良い経験ができたと思います。

他に印象に残っている講義はありましたか?

英語の物語を読む講義です。物語と言っても、高校生の時に読んだ簡単なものではなく、原著で、会話の中でも、まだまだわからない所がありました。翻訳はチーム制で、パートを決めてみんなで訳していきます。訳す順番などチームワークも必要で1つのことをチームで実施する楽しさが印象に残りました。

3年次の専門ゼミではどんなことを学びましたか?

私は野呂先生のゼミを選択し、語学を中心にと考えていましたが、どちらかというと異文化間のコミュニケーションの違いに視点を当てて学びを得ました。

どんなことを学びましたか?

例えば、話す時の許容される距離が民族で違って、距離が近いことを親しみとして感じるのか、逆に失礼にあたるのかなどを学びました。文化が違うとコミュニケーションの考え方、あり方が違ってきます。1つの言葉、行動がその背景で違って捉えられます。 卒業論文もそのことをテーマに書き上げていきたいです。

最後に高校生へメッセージをひと言。

好きなことを大学で学んで欲しいと思います。私も好きな英語を学ぶことで、多くの貴重な体験ができました。ここ愛知学院大学には、好きなことを深く学べる環境が整っています。人生において4年もの間、好きなことに集中できる期間はありません。自分の心に素直な気持ちで進路を決めて欲しいです。


取材を終えて

「英語は苦手だったけど、好きだった」。宮地さんは暗記中心の受験英語は苦手で、英語を通じて物語が読めたり、コミュニケーションをとったりすること、多くの人と接することが好きで、その環境がグローバル英語学科にあったということです。「聴く」「話す」「読む」「書く」の技能は言うまでもなく、人によって民族によって話す英語の違いを感じ取り、その根底にある文化の違いをも感じることができている。単に言語としての英語ではなく、実践的なコミュニケーションに必要な語学を習得できているのだと感じました。暑い中での撮影、取材、本当にありがとうございました。

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