Club Interview vol.004 Singing All Stars 南 謙一郎(みなみ けんいちろう)さん 商学部(2012年3月卒業)

創部58年目の「Singing All Stars」大学祭などの学内イベントにとどまらず、学外からの依頼にも応える。毎年2月にはホール貸し切りの単独リサイタルを開催。スウィングで大観衆を魅了する。 大学で触れるJAZZ。スウィングする楽しみ。

01 創部58年目のビッグバンド

Singing All Starsについて教えてください。

1955年(昭30年)に結成されたビッグバンドジャズ部です。部員は昨年が34名、今は4年生が卒業したので、現在25名(平成24年3月現在)です。

パートはどのように構成されているのですか?

ビッグバンドは、サックス、トランペット、トロンボーン、ギター、ピアノ、ベース、ドラムで構成されます。編成はサックス5名(アルト2名、テナー2名、バリトン1名)、トランペット4名、トロンボーン4名(内バストロンボーン1名)、その他の楽器は各1名の計17名が基本構成です。

年間スケジュールを教えてください。

4月の新入生勧誘のための特設ステージライブを皮切りに、夏合宿、11月の大学祭、2月の単独リサイタルが大きなイベントとなります。その他にもJazz Festivalへの参加や他大学さんとのバンドバトル、スタジオでのレコーディング、一般企業さんからの依頼演奏など多くのイベントがあります。

編成はいつも同じですか?

それぞれのイベントによって編成も変えています。大きなイベントでは全員が参加しますが、例えば企業さんからの依頼では、ドラム、ベース、サックス、トランペットなど5名くらいの小編成(コンボ)を組むこともあります。

その際の選曲は自分たちで決めるのですか?

はい。新入生歓迎ライブや大学祭は一般のお客様も多いため、グレン・ミラーの「In The Mood」や、ベニー・グッドマンの「Sing Sing Sing」といった誰もが耳にしたことのあるようなメジャーな曲を中心に演奏しています。単独リサイタルでは20曲近くを演奏しますので曲を決めるのも大変です。

20曲近くとは凄いですね。

主にコンサートマスターが中心となって選曲をします。リサイタルでは4年間は同じ曲にならないようにしていますので、その点、練習する部員も日々の練習が大事になってきます。

日頃はどのように練習をしていますか?

授業終了後、17:00~20:00までが練習時間となります。月曜日から木曜日までパートごと、曜日別にローテーションを組んで練習を行い、金曜日にアンサンブル、全パートで音合わせをします。その他、夏は宿泊しての合宿、特に、リサイタル前には2週間泊まり込みで猛練習をします。

02 部員の半数は「楽器」未経験者

部員の方々は経験者が中心なのですか?

いえ、半数は全くの「楽器」未経験者です。吹奏楽部出身者など、楽器経験者も半数ほどいますが、JAZZ経験者となると少数です。

そうなんですね。楽器の経験がある方ばかりだと思っていました。

最初は、楽譜の読み方もわからない人も多いんですよね。そんな人が楽器を手にし、練習で曲を演奏できるようになる。凄いことだと思っています。

未経験者が演奏できるようになるわけですから凄いですよね。

最初は、思った通りに音を出せないわけです。でも先輩が親切にマンツーマンで根気よく指導してくれます。先輩も最初は音も出せなかった人が多いですから、その気持ちが良くわかっているわけです。

吹けない人の気持ちがわかっているっていうのは良いですね。

また、大学での4年間はそれまでとは違い、自分のために使える時間がたくさんあります。つまり一つのことに集中できる時間の濃さが違うと思うのです。音が鳴る、曲が吹けるようになる、できることが増えていくことは楽しいですよ。

JAZZに興味を持つ、そのきっかけはなんでしょうか?

多くの部員は1年生の4月に新入生勧誘の特設ステージライブを聴いたことがきっかけになっていると思います。 高校生までにJAZZに触れるというのは、 特別なことがない限り、 そうそうあることはないですから。

楽器への興味。JAZZへの憧れ。それが入部のきっかけということですね。

JAZZは大人の香りがします。普段、聴いていた音楽とは何か違う。だから興味を持つ人はいるでしょうし、JAZZだからこそ吹いたことのない楽器もチャレンジしてみたいと感じ、入部してきたのだと思います。

03 ビッグバンドJAZZの魅力

JAZZ、ビッグバンドの魅力とは何でしょうか?

JAZZならではのスウィング感。数十名の演奏者による一体感。アドリブ、個人でのソロ演奏など、その多様な演奏形態とダイナミックな所でしょうか。

普段から心がけていることはありますか?

個人の力量をあげることはもちろんのこと、パート、バンド全体をどうまとめあげるかということです。演奏形態が多様ではありますが、好き勝手に演奏すれば良いというものではありません。何よりも大事なのは聴いてくださる方に楽しんでもらうということです。その気持ちがあって初めて良い演奏は実現するのだと思います。

演奏していて嬉しい時はどんな時ですか?

やはり、僕たちの演奏で、聴いている方が喜んでくれている時です。手拍子が自然に起こったり、笑顔で聴いていてくれたりと、会場全体に一体感が生まれた時、何よりも幸せに感じます。

単独リサイタルでは特にその印象が強いのでは?

はい。単独リサイタルには例年400名以上の方に来場いただきます。その緊張感、一体感は他では味わえないものです。また楽器を手にした1年生にとっても、これで引退する卒業生にとっても集大成のイベントです。内外への渉外、調整など準備も必要で、一層思いが強くなります。毎年、必ず成功させたいと思っています。

最後にメッセージをお願いします。

JAZZには他の音楽にはない魅力があります。ビッグバンドという大編成での演奏、そこには他で味わえない充実感があると思うのです。経験者はもちろんのこと、楽器、未経験の方も大歓迎です。是非、一緒にスウィングしましょう。

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取材を終えて

JAZZは普段なかなか耳にしない音楽です。だから遠い世界の音楽にも思えます。それなのに一端JAZZを耳にすると、自然に身体を動かしたくなるような、そんな衝動にかられます。耳にするたびに、身近になる、自分のものになっていく、そんな気持ちになるのです。JAZZを大学から始めるって、それだけで格好良いと思います。そして個人で演奏することに満足せず、ビッグバンドで仲間と聴衆と一緒に楽しむ。自分の思いを楽器に託し、それをJAZZのビートにのせて会場を1つにしていく。そう考えるだけで心が踊りだすようです。今後のSinging All Starsの益々の活躍を期待しています。歌うように奏で、スウィングを楽しんでください。ありがとうございました。

おことわり
取材は平成24年1月11日に行われました。南さんが在学中に聴いた話を参考にしてまとめたものです。