Club Interview vol.006 硬式野球部 マネージャー 片山 智恵(かたやま ちえ)さん 商学部3年生

愛知大学野球連盟所属。1部リーグ優勝44回。2011年明治神宮野球大会で準優勝。過去にも全日本大学野球選手権大会準優勝1回、明治神宮大会で優勝の経験を持つ。プロ野球・社会人野球にも輩出。母校に指導者として戻り甲子園で優勝を導いたOBもいる。 魅せる全員野球で全国制覇をめざす

01 昨年の明治神宮野球大会で準優勝

野球部について教えてください。

1953年(昭和28年)に愛知大学野球連盟に加盟し、現在1部リーグに所属しています。部員は65名。1年生が20名、2-4年生は各学年15名前後で、関西、九州を中心に全国から学生が集まっています。

活動内容を教えてください。

4月・5月は6月に開催される全日本大学野球選手権大会の春季リーグ戦。優勝校が選手権大会へ出場できます。9月からは11月に開催される明治神宮野球大会の出場をかけて秋季リーグ戦が始まり、リーグ戦に勝ち抜いた愛知、東海、北陸リーグのトーナメント戦を経て、その優勝校だけが明治神宮野球大会へ参加できます。

全国大会に向けての活動が中心となるのですね。

そうです。7月は定期試験があり大きな活動はありませんが、8月には関東遠征、社会人の強豪チームとのオープン戦など、試合が続きます。また、1・2年生は6月に新人戦があるのでスケジュールは充実しています。

みなさん大活躍されていると聞いています。

愛知リーグでの優勝回数は春秋を合わせて44回です。昨年2011年の明治神宮野球大会では準優勝を果たしました。決勝の相手は明治大学でエースはドラフト1位で広島へ行った野村祐輔投手。最後まで勝敗がわからない接戦でした。愛知学院大学らしい粘り強い試合だったと思います。

確かに粘り強かった。

諸先輩が築いてきた伝統と実績を胸に、部員全員が野球に懸け、日夜練習をしている結果だと思います。特別なヒーローはいませんが、「魅せる全員野球」をモットーに取り組んでいることが結果につながっていて、大変嬉しく感じています。

02 感謝の心を忘れない

日頃はどんな活動を行なっていますか?

週6日の活動です。月曜日はオフですが、その他の日は、朝の練習は7時前~9時ぐらいまで。夕方は講義終了後17時~20時、遅い日は21時頃まで練習を続けます。週末は練習試合も組まれていますし、まさに毎日、野球ができる環境です。

遅くまで練習ができるのですね。

愛知学院大学には硬式野球部専用の野球場があり、ナイター設備も整っていますので、いつでも野球に集中できる環境です。ここでは、公式リーグ戦も開催されます。両翼100mある広い野球場で実践力を高めることができるのは、本当に幸せなことだと感じます。

先ほどはキャンパス内の坂でもトレーニングしているのを見ました。

愛知学院大学はキャンパスが広く、適度な坂があったり、フィジカル強化にも適した環境です。移動もなく学内で様々な練習環境があることも恵まれていると思います。

勉強もしないといけないですよね。

もちろんです。大学生ですから、単位も取得しないと卒業できません。野球中心ではありますが、しっかりと講義を受け、試験に臨みます。野球と勉強。両立できてこその大学野球です。その点は全員が自覚しています。

練習も無駄がない感じでした。

当たり前ですが、ダラダラしている時間はないですね。やるべきことの自覚と自らが考えて動く、その実践ができていると思います。それは全員が寮で生活をし、練習以外でも規律性、協調性を心がけている結果だとも感じています。

全員が寮生活なんですか?

そうです。一緒に生活をすることで日頃から意思疎通をはかることができます。上下の関係を重んじつつも積極的に意見交換し、真剣に語り合う。素晴らしい野球選手になることは大事なことですが、それ以上に、また良い精神を育み、人間として成長していくことが大事です。

充実した環境ですね。

これは部員全員が言っていることですが、大学に入っても続けて野球ができることに本当に感謝しているんですね。高校野球で断念する学生も多いわけですから。親への感謝、監督、コーチ、スタッフへの感謝。そういった感謝の心が育まれていることに嬉しさを感じます。

03 学生中心で運営される大学野球

マネージャーやスタッフの皆さんも忙しそうですね。

普段のケアはもちろんのことですが、大会の申請や壮行会のOBへの案内、出欠確認などの業務もあります。また愛知大学野球連盟の業務も学生が中心となって行われます。愛知学院大学は総務担当で、開会式、閉会式などの運営も担当業務です。

連盟の業務も学生中心なのですか?

はい。そういった意味では、「大学生による大学生のための野球」と言えるでしょうか。自主性を重んじられ、できることは全て学生で行う。もちろん、それらは、諸先輩方の数々の経験の積み重ねがあってこそできることです。意見に耳を傾けながら運営していくことを心がけています。

多くの人が携わって1つの大会が運営されているんですね。

ベンチ入りできるのは25名ですが、みんなが心置きなく戦えるように、環境を整えている部員もいます。ケガをして試合に出場できない人も、肩や肘を痛めて選手としては活躍できない人も、全員が「自分たちにできることはないか」と全力を尽くしています。まさに全員野球。これら全てを含めて、大学野球には他にはない魅力があると感じています。

OBにはプロ野球や社会人野球で活躍されている人もいらっしゃいますね。

現役では、阪神の筒井和也投手と広島の木村昇吾選手がいます。筒井投手は、調子の悪い時期もありましたが、今年プロ9年目にして最多登板をするなど活躍をしています。木村選手も広島に移籍してから活躍をみせています。社会人野球でも多くのOBが活躍していますが、指導者として母校に帰り、甲子園へ導き優勝を果たした監督もいます。沖縄尚学高校の比嘉光也(ひがこうや)監督です。

比嘉監督もOBなのですか?

はい。99年の春の選抜高校野球でエースとして全国制覇し、沖縄へ祈願の優勝旗を持ち帰った後、愛知学院大学へ来ましたが、肘の故障のため学生コーチとして野球部を支えることになりました。ただそれがきっかけで指導者の道を目指し、卒業後沖縄に戻り、監督となり、2008年、今度は史上最年少監督で春の選抜大会の優勝を成し遂げました。

素晴らしいですね。

先ほどスタッフも含めた全員野球と言いましたが、まさに比嘉監督も学生コーチとして自分ができることを全力で成し遂げた、その結果がこのような功績につながり、後輩として誇りに感じています。

今後も試合が続きますね。

はい。9月のリーグ戦、10月のトーナメント戦を勝ち抜き、神宮を目指したいです。最後まであきらめず、全国制覇を目標として頑張っていきたいと思います。

サムネイルをクリックしていただくと、拡大した写真をご覧いただけます。

取材を終えて

最も印象に残ったのは「大学で野球ができることに感謝している」と話があったことです。特に親への感謝の気持ちは非常に強く感じ取れました。大学野球も勝負の世界、厳しい世界です。もちろん勝つことは大事ですが、大学の4年間は社会にでるための期間でもあり、人として成長することも大事です。大学野球の経験を通じて、心の成長も遂げている、そんな実感がありました。魅せる全員野球で今年も神宮で会えることを期待しています。ありがとうございました。(取材日2012年8月6日)