Club Interview vol.021 よさこいサークル「常笑」 長谷川 隼人(はせがわ はやと)さん 総合政策学部 総合政策学科

熱く!華麗に!踊りが一つになる!約60名が所属する大所帯サークル。毎年、オリジナルで曲・振付・衣裳・大道具を制作し、「にっぽんど真ん中祭り」をはじめとする県内外で行われるお祭り・イベントに参加。踊って、笑って、仲間と共に感動を味わう。 踊って知る、みんなと感動を共にする喜び。

01 約半年間、各地で踊りまくる。

今では全国で見られる「よさこい踊り」。あらためて説明をお願いします。

その起源は、昭和29年8月に高知県で始まった「よさこい祭り」にあります。高知商工会議所が中心となり、『徳島の阿波踊りに負けない踊りを作りたい』という思いから考案されました。全国に広がるきっかけとなったのは、毎年、北海道札幌市内で行われている「YOSAKOIソーラン祭り」。北海道の大学に通う一人の学生が、高知県で見た「よさこい祭り」に感動し、道内に戻って運営組織を作って開催を実現しました。「YOSAKOIソーラン祭り」は、回を重ねるごとに盛り上がりを見せ、全国の行政、経済団体などから注目を浴び、全国各地で実施される運びとなっていったのです。各地それぞれのお祭りで細かなルールは異なりますが、基本的なルールは「手に鳴子を持つこと」「音楽には〝よさこい鳴子踊り〟を取り入れること」という2点だけです。

では、よさこいサークル「常笑」について教えてください。

社会人を中心とした学外のよさこいチームに所属する愛知学院大学の学生が発起人となり、2013(平成25)年に創部しました。学内サークルでありつつ、社会人や中・高生と一体になった活動も行っている団体です。創部当時の学内メンバーの人数はわずか2名でしたが、2014年には21名が加わり、2015年にはさらに40名増え、今や約60名の大所帯となっています。男女の割合としては、女性が約6割、男性が約4割です。練習は、毎週月曜日の17時から19時までAGUスポーツセンターのリハーサル室で行い、お祭り・イベントのために踊りを磨いています。

お祭り・イベントの参加スケジュールについて教えてください。

毎年、最初に参加するお祭りは、6月に犬山市で行われる「犬山踊芸祭」です。1年ごとに新しく作り替える曲や、それにあわせて作り上げた振付を初披露する場所となります。8月には、私たちが1年で最も大きなイベントと捉える「にっぽんど真ん中祭り」に出場します。9月から11月にかけては、天白区の御前場夏祭りや日進市の「日進夢祭り」など、地域のお祭り・イベントに参加。愛知学院大学の「愛学祭」でももちろん踊ります。12月には岐阜県瑞浪市で催される「バサラカーニバル」があります。「常笑」の一部のメンバーが他大学のよさこいチームのメンバーと手を組むなど、このイベントだけの限定チームを構成して参加します。そして3月は、浜松市で行われる「浜松がんこ祭り」のよさこい踊りに参加して、1年の踊り納めとなります。

8月の「にっぽんど真ん中祭り」を年間で最も重要なステージと据える理由はなんですか?

日本最大級の踊りの祭典だからです。真夏の名古屋に国内外から約200チーム23,000人が集結し、開催期間中の来場者数は約200万人を超えます。コンセプトは「観客動員数ゼロ=全員参加型」。一つの曲と振付を事前に紹介しておくことで参加者も観客も全員一緒に踊りが楽しめる状態を可能にした「総踊り」は、2010年に〝世界一の総踊り〟としてギネスブックにも認定されています。

02 「にっぽんど真ん中祭り」に向け、磨いていく。

踊りを仕上げていく手順について教えてください。

まず、学外の作曲家に曲の作成をお願いします。「にっぽんど真ん中祭り」に出場するためには、踊りの曲がオリジナルである必要があります。前年末頃に依頼し、春頃までに仕上げてもらいます。曲が出来上がったら、振付を担当する「振り班」が代表(社会人)と共に振付を考案し、サークル内の全員に伝え、指示していきます。また同時に、「衣裳班」が中心になって衣裳の作成も進めていきます。アイデアを考え、業者と話し合いを行いながら作り上げていきます。振付も衣裳も1年で最初の舞台となる6月の「犬山踊芸祭」までに完成させることを目標としています。

完璧に仕上がった状態で「犬山踊芸祭」に出場するということですね。

いいえ。「犬山踊芸祭」に出場する頃は、まだ新曲に沿った新しい振付と衣裳がとりあえず揃った段階です。その後、徐々にブラッシュアップさせていきます。より曲にふさわしい流れを追求し、手先の動かし方など細部を調整し、隊列の組み方など洗練させ、全体としての動きを向上させていきます。また、踊っている間に背景に広げる幕やそれぞれが手に持つ旗、傘、扇子などを「大道具班」が作成します。これらの道具作成に関しては、自ら手掛けたり、業者やお店に注文したりします。

祭り・イベントごとに異なる見せ方をすることもあるのでしょうか?

あります。2015年の「にっぽんど真ん中祭り」では、今回限定で、学内の「和太鼓クラブAGU丸座」とコラボレーションをしました。クラブ・サークルの部長が参加するリーダーシップトレーニング合宿で交流したことをきっかけに仲良くなり、合同で出場してもらいました。踊りに和太鼓の音が加わったことで見せ方の幅が広がり、大変格好良い仕上がりとなりました。「にっぽんど真ん中祭り」以外でも、例えば、「浜松がんこ祭り」など楽器を使うことで加点されるお祭りもあるので、舞台を見極めながら踊りに工夫を凝らしていきます。

「振り班」「衣裳班」「大道具班」以外にも班はありますか?

「企画班」があります。4月に行われる新入生歓迎会や7月に実施する夏合宿、その他レクリエーションなどの企画・運営を担当しています。2015年の夏合宿では、2泊3日で愛知県美浜少年自然の家に滞在しました。8月に行われる「にっぽんど真ん中祭り」の直前合宿となりメンバー全員が参加するので「企画班」には大勢をまとめる運営力が求められます。また、学内メンバーだけでなく社会人と一緒に行う企画では、幅広い年齢層の人が楽しめる内容を考案する必要があります。「企画班」があるおかげで、メンバーとの交流や練習がスムーズに行えています。

受賞歴について教えてください。

「にっぽんど真ん中祭り」においては、40人未満で構成されたチームが対象となる「U-40」の大会で、2013年、2014年と2年連続優秀賞を獲得しています。「日進夢祭り」では2013年から3年連続で準大賞、2015年は「スマイル賞」もあわせて受賞。「がんこ祭り」では2014年に大賞の栄冠を手にしました。

03 踊り終わったら、誰もが笑い合える。

長谷川さんが入部したきっかけを教えてください。

今の3・4年生の先輩から勧誘を受けて入りました。実は、最初のきっかけは、部長と同郷だったということだけだったのです(笑)。よさこい踊りの知識も、全く持ち合わせておらず、ただ単に話の流れで体験入部の会場へ足を運びました。でも、そこで見た光景に心を鷲づかみにされたのです。躍動する踊りのキレ、踊り手を煽るMCの声の迫力、傘や幕などの動きを用いた華やかな演出。全てに感動して、〝自分もあんなふうに踊ってみたい!〟と思わずにはいられませんでした。

特に入部して良かったと思えることは何でしょうか?

わかり合える友だちが大勢できたことです。同じサークルメンバーとして踊りを共に練習し続け、夏休みもほぼ一緒に居続けて、祭りやイベントの舞台上で成果を披露する達成感を味わう中で、様々な思いを通じ合えている気がします。

メンバー同士はあだ名で呼び合っているんですよね。

そうです。私は「ハヤピー」と呼ばれています(笑)。あだ名で呼び合っていると、コミュニケーションの壁って生まれにくいです。先輩・後輩の関係も柔らかくなります。以前、練習中、ある人が「長谷川君いるかな?」と探しに来た時、多くの後輩が誰のことを探しているのかわからなかったことがありました。それくらい浸透しているので、どんな時にもかしこまることはありません。あだ名も、総踊りと同様に、今の時間を一緒に楽しむための一つの方法なのだと思っています。

今後の目標を教えてください。

「にっぽんど真ん中祭り」での入賞です。大賞まではいかなくても、ぜひセミファイナルに出場できる12チームに選ばれたいです。セミファイナルに選抜されると、夜のステージに出られます。ライトアップされる中で踊るのは最高です。「浜松がんこ祭り」で大賞を獲得した際にはライトアップされた中で踊らせてもらい、本当に爽快でした。暗いのでこちらから観客は見えないのですが、一緒に踊っている気配が伝わってきます。踊りが終われば、皆で笑い合います。こうして仲間と観客と共に一つになって楽しむ感覚は、踊りだからこそ得られるのではと思います。

では、高校生にメッセージをください。

よさこいサークル「常笑」は、大学生活を楽しみたい人にうってつけのサークルです。踊りを通して仲間ができて、努力しただけ最高の気分を仲間と共に味わえます。もちろん、賞が獲れなくても頑張った後は必ず皆で笑い合えます。笑って4年間を過ごしたい人には、おすすめですよ。

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取材を終えて

まず驚いたのは、その切り替えの見事さでした。準備をしている時は、皆がゆったりとした雰囲気を出していて、誰もが打ち解け合えるような柔らかな時間が流れていました。でも、ステージに上がって踊り始めると、一変。キレ味の良い動きと躍動感に圧倒されました。しっかりとした練習に裏付けられた技術の姿がそこにありました。ただ、面白いのは、それだけ凄いパフォーマンスなのに、見終わった後に湧き上がった気持ちは「自分もやってみたいなあ」だったのです。そう思ってしまう理由は、長谷川さんの話しを伺って判明しました。何よりも〝楽しそう〟だから。「仲間と、観客と、一緒になって踊った後は皆で必ず笑い合えます」と話す長谷川さんの表情から、自分もそういう輪の中に入ってみたいと感じました。そこには、練習して賞などの目的を達成すること以上の魅力があるように思いました。長谷川さん、貴重な時間ありがとうございました。今後ともご活躍を期待しています。