文学部
日本文化学科
光源氏の心の中を、物語絵で読み解く

川名ゼミでは、3年次から1年半かけて源氏物語への読解を深めていきます。その際、物語の内容とともに、絵巻などの〈源氏絵〉を鑑賞しながら作品への理解を深めていきます。
源氏物語には、たくさんの登場人物の生き方や心模様が描かれています。ゼミでは、文学の世界が、絵巻や屏風などの物語絵にどのように表現されているかを分析します。絵画化された出来事や事物の〈かたち〉の意味を探り、本来、視覚化されにくい心理的状況や複雑な内面などが、どのように絵の中で暗示されているのかを皆で考察していくのです。
また、川名ゼミでは源氏絵の塗り絵にも取り組んでいます。200色の色鉛筆を用い彩色する作業は、おのずと一つひとつの画面をじっくり見つめ、絵に描かれた人物の様子や衣装、仕草などの意味をさまざま、考えるきっかけとなります。物語文を読み、彩色をしながら、その場面に宿る多様な感情や人の世の諸相をたどり、体感してゆくのです。
古典文学を味わうことは、時空を超えて、人がかかえ持つ普遍的な思いを発見したり、人生を〈生ききる〉ことの意味を考えることにつながります。文学世界に真摯に向き合い、静かに思考を深める個々の〈孤独な時間〉も、精神的に豊かなひとときと言えましょう。