卒業生の活躍

常識を疑うことで
ビジョンは広がる
魅力あふれる地元の力になりたい

愛知県常滑市
市長
伊藤 辰矢

文学部 日本文化学科 2001年3月卒業

 

インド仏教を研究するゼミに所属していた大学3年のとき、カースト制度を学ぶ機会がありました。授業の中で「私の周りで起きている出来事は、私にとっての常識でしかない」と衝撃を受け、より見識を広めるためにアメリカへの留学を決意しました。帰国してからは介護施設で働きながら政党の青年部に所属し、同年代の人たちと意見を交わしたり、講演会に参加したりするように。その後は国会議員の秘書を務めましたが、当時財政破綻の危機に瀕していた地元・常滑市に貢献したいという思いが次第に強くなり、市議会議員への立候補を決意しました。市政と向き合うようになった今でも「これが常識だ」と最初から決めつけるのではなく、まずは可能性を探るようにしています。授業で学んだ姿勢が生きる瞬間ですね。
私たちが今、注力しているもののひとつが観光施策です。常滑市には伝統工芸品の常滑焼に加え、空の玄関口・中部国際空港があります。しかし、市内の観光関係者がめざす方向性にまとまりがなく、豊かな観光資源を生かしきれていないのが実情でした。新型コロナウイルスの流行ですべての観光がストップしてしまったとき、これまで検証できていなかった観光戦略を一度立ち止まって練り直すことを決め、観光戦略課を新設しました。データをもとに、市内の商業施設やホテル業者などと観光業の活性化のための会議を開き、同じビジョンを持てるよう議論を重ねました。その結果、ばらばらだった魅力を束にしておもてなしできるようになり、観光客の満足度を高められたと感じています。これからも今ある資源を一つひとつ磨き、魅力あるまちづくりにまい進していきます。
総合大学である愛知学院大学にはさまざまな学部があり、いろんな意見を持つ多くの学生と交流できるのが魅力です。私は在学中、軽音サークルで音楽に打ち込んでいました。OB・OG会には15代近くの同窓生が集まり、現役の学生が参加することもあります。音楽を通じ、年齢も職業も違う仲間たちと語り合う時間は刺激的で、とてもいいものです。多くの人とつながり、あなただけのビジョンを探してみてください。

 

常滑市:愛知県の知多半島に位置する市。沿岸部には「中部国際空港(セントレア)」を擁する、世界の玄関口。常滑焼で知られる焼き物の里でもある。
※取材時の情報です。

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